「3分3回エキシビション」では肩透かし?!メイウェザー対那須川天心戦が紆余曲折した真相とは
暗礁に乗り上げていた元5階級王者、フロイド・メイウェザー(41、アメリカ)と、無敗の天才キックボクサー、那須川天心(20、TARGET/Cygames)との「RIZIN.14」(埼玉スーパーアリーナ)での大晦日マッチが「3分3ラウンドの限りなくボクシングルールに近いエキシビションマッチ」として行われることを17日、米国ロスでの交渉を終えてきた「RIZIN」の榊原信行実行委員長が緊急会見を開き発表した。 当初からエキシビションマッチの契約であったにも関わらず5日の記者会見では、ハッキリとアナウンスしなかったことで海外の関係各位に予想外の反響が起きてしまったことが、今回の騒動の理由だったようで、榊原実行委員長は、再交渉の中でメイウェザー側の誤解を解き、エキシビションマッチであることを公表した。「KOあり判定決着なし」のルール。榊原実行委員長は、「本気のスイッチを入れさせることができるかどうか。奇跡を起こして欲しい」と期待を口にしたが、体重差と那須川に不利なボクシングルールでのエキシビションであることを考慮すると格闘ファンは、とんだ肩透かしを食らうことになった。ただ世界最高額のファイトマネーでのエキシビションマッチになることは間違いなく世界の注目度は高い。
一転、二転……なんとか一筋縄ではいかないメイウェザーのRIZIN参戦にこぎつけた。再交渉が長引いて帰国予定が4日も延び、もう着替えもなくなった榊原実行委員長の羽田空港の特別室での緊急会見はスウェット姿。憔悴しきった様子で「話はまとまった。非公式試合。つまりエキシビションマッチ。3分3ラウンド。限りなくボクシングに近い打撃攻撃のみのスタンディングバウトになる」と発表した。 辞書を引くとエキシビションの定義は「公式記録としない公開演技や模範試合を意味する」とある。だが、榊原実行委員長は、こう力説した。 「言い訳をするつもりはないが、オフィシャルじゃないものはすべてアメリカではエキシビションと呼ばれる。日本語に直すと、ぬるい、遊びに聞こえるが、ヘッドギアもつけないし、KOあり。判定決着はつけない方向だが、倒しにいくチャンスはある。たとえば、今回行われていた日米野球もエキシビションゲームだし、UFCのタフも非公式なエキシビション。猪木―アリ戦もエキシビションだった。間違ってもフィギュアスケートの最終日に行われるエキシビションとは違う。フルスロットルで戦う」 主催者として、こう説明せざるをえない立場は理解できるが苦しい弁明だった。 実は、当初から「エキシビションマッチ」の契約が結ばれていたにもかかわらず、5日にメイウェザーが来日して行われた会見では、その言葉が封印されていたことが、今回の騒動のすべての引き金になった。 「その言葉(エキシビション)が一人歩きしスパーリングみたいだと思われることをおそれ、会見ではスペシャルチャレンジバウト(と発表することを)と決めた」と、榊原実行委員長は、正直に明かしたが、会見では、ルールやラウンド数、体重問題などの詳細は一切明らかにされず、榊原実行委員長が「無差別、果し合い、喧嘩」と格闘技的用語を使って説明したため世界へ衝撃を持って広がった。 「お互いに、こんなに話題になると思わなかったというところがある。彼らがアメリカを離れてプロとして行う試合は初めて。どんな反響になるかがわからなかったが、予想以上の問い合わせなどがあった。そういう立場にメイウェザーを立たせてしまった」(榊原実行委員長) メイウェザーサイドも「RIZIN」の世界的発信力を甘く考えていたのだろう。エキシビションという言葉を使わず、スペシャルチャレンジバウトと発表することには同意していたが、それが「メイウェザーがマクレガー戦以来の真剣勝負のリングに立つ」と、湾曲した形で世界へ拡散されたことに戸惑った。