小池知事「感染状況を注視しながら、無観客も軸に」 東京大会の成功に意欲
東京都の小池百合子知事は2日の定例会見で、新型コロナウイルスの感染再拡大の兆しがみられる中で「無観客」論も出ている東京五輪について、感染状況を注視しながら無観客も含めて検討する必要があると述べた。パラリンピックと合わせた東京大会の開催と成功には意欲を見せた。 【動画】「どこかで倒れても本望」小池都知事が一転、定例会見
「宣言」「重点措置」下では政府の措置内容踏まえる
小池知事は「緊急事態宣言、またはまん延防止等重点措置が発動された場合は、(政府のイベント制限などの)措置内容を踏まえた対応が基本となる。感染状況や医療状況に急激な変化がある場合は5者で協議して、状況に応じ無観客も含め対応を検討する必要がある」との基本的な見解を示した。これは6月21日に開かれた大会組織委員会や政府、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)、そして都との5者協議の場で小池知事が発言した内容。この考え方は共同声明にも盛り込まれたと言い、「これからも感染状況をよく注視しながら、どのような形がいいのか、無観客も軸として考えていく必要があるのではないか」と述べた。 政府はコロナ対策における大規模イベントの観客制限について、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出ている状況では、5000人を上限(かつ収容率50%以下)とすること、さらに宣言や重点措置が解除された後には経過措置として上限を1万人(かつ収容率50%以下)とする方針を示している。
ワクチン接種と人流抑制策「東京大会の成功につなげたい」
小池知事は都内の感染状況について、国の指標では新規感染者数は「ステージ4」の水準だとしたが、ワクチン接種が「猛烈に進んでいる」(小池知事)中で、高齢者の感染割合が減少している傾向がみられるとして、「都内の感染状況の質は変化しているのではないか。入院患者、重症患者は抑えられていると思う」との見方を示した。 五輪開催によって増加が懸念される人流については、▽コロナの影響で75万人の観光・出張者が3分の1に落ち込んでいる、▽来日する大会関係者も14万人の計画から4万人まで減らした、▽大会そのものを簡素化した、などと小池氏は説明し、「大会期間中はコロナ禍の現状と比べてもトータルで人流は増加することはなく、むしろ減少することが見込まれる」と主張した。 4万人の大会関係者が来日することに関しては「『4万人もいるじゃない』と言われるかもしれないが、首都圏では毎日300万人が出たり入ったりするのが日常」だと述べ、「数字の規模感が十分伝わっていないのではないか」とメディア報道に不満を示す場面もあった。 その上で、パッケージで行っているさまざまな人流抑制策を踏まえ、「コロナ禍における東京2020大会の開催・成功につなげていきたい」と語った。 さらに「大会は五輪だけではない。パラリンピックも控えている」と言及し、「世界で五輪とパラリンピックを二度開催するのはこの東京が初めて」と五輪とパラリンピックを合わせた東京大会の成功に意欲を見せた。