2億超えの価値に…大谷翔平の50号記念球の狂騒曲に米弁護士も愕然 “真の所有権”を巡って波紋拡大「断定は難しい」
球界に残る“史上初”の証となるメモリアルなボールを巡って、大騒動が起きている。 キッカケとなったのは、9月19日に行われたマーリンズ戦で大谷翔平(ドジャース)が放った50号だ。左中間席に放った一発でドジャースのメガスターは史上初となる「シーズン50本塁打・50盗塁」を達成。スタンドに着弾したホームランボールは莫大な価値となった。 【動画】所有権の証拠になる? 大谷翔平の50号ボール争奪戦の瞬間をチェック 果たして、ボールはというと、現時点で米国内のオークションに出品されている。スタンドでの“争奪戦”を制した男性がドジャースからの30万ドル(約4200万円)の賞金提示を拒否。米競売サイト『Goldin』を通じて、10月9日(日本時間10日)までに450万ドル(約6億5000万円)で入札した場合において即決となるというオークションに出された。 ボールにつけられる金額は日増しに膨れ上がっている。初期設定価格50万ドル(約7225万円)で始まったそれは、日本時間4日の段階で183万ドル(約2億6500万円)に増大。カージナルスのマーク・マグワイアが1999年に放った70号のホームランボールで、300万ドル(約4億3500万円)に次ぐ史上2番目の高額取引になっているという。 もっとも、入札が決まったとしても一筋縄でいく気配はない。というのも、ボールの所有権を巡って、外野席に居合わせていた二人の男性が訴えを起こしているのだ。18歳のマックス・マタスさんと、32歳のジョセフ・ダビードフさんである。両者はそれぞれ「ボールは強引に奪われた」「最初に手にしたのは自分だ」と主張。そして、オークションに出品した男性を相手にフロリダ州の裁判所に提訴している。 ボールの所有権が波紋を呼びそうな展開となる中、米スポーツ専門局『ESPN』は、「オオタニの50-50を決めるボールの所有者は誰?」と銘打った企画記事を掲載。国内の弁護士や法律家にマタスさんやダビートフさんに権利が発生する可能性があるかを聞いている。 興味深かったのは、かつて同様にホームランボールを巡る裁判に携わった弁護士のコメントだ。2001年にバリー・ボンズ(当時ジャイアンツ)が年間73本塁打を放った際に、その記念球を巡って争った日系アメリカ人のパトリック・ハヤシ氏の弁護人を務めたドナルド・タマキ氏は、「所有権の原則は、各業界の慣習によって決まる。野球の場合は最初に触った者ではなく、最初に手にした者が所有権を得る」と指摘。冷静に今回の騒動に対する持論を展開している。 「断定するのはかなり難しい。問題は、この騒動において、マタスにボールを持っていた男が実際にボールを奪った証拠を証明する人がいるかどうかだと思う。現時点では証拠は不確定であり、適切な対応があるとすれば、ボールを売却し、収益を分割することだろう」 2つの訴訟が進行する中で価値が膨れ上がる50号ボールはいったいどうなるのか。一連の騒動もまた、大谷の異端ぶりを物語る一例と言えるのかもしれない。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]