宗教対立続く中央アフリカで人道危機が深刻に 160万人が要「食糧支援」
中央アフリカが深刻な人道危機に陥っている。 国連WFPと国際連合食糧農業機関(FAO)は11日、宗教対立が激化する中央アフリカ共和国について、経済が壊滅状態に陥り、国民は生活に最低限必要な物資ですら手に入れられなくなっている、とする報告書を発表した。中央アフリカをめぐっては、WFPと国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、UNICEFも8日の日本記者クラブでの会見で危機的状況を訴えている。
中央アフリカでは2012年12月から紛争が始まった。アムネスティのレポートによると、セレカ(イスラム系の反政府組織)は、キリスト教住民に対する虐殺や超法規的処刑、性的暴行、拷問、略奪を繰り返し、村を焼き払ったという。セレカが弱体化し、撤退すると、国連平和維持部隊は反バラカ(キリスト教系民兵組織)による町や村の支配を容認。その後、今度はイスラム教徒住民に対する残虐な暴力行為が始まった。 UNHCRによると、昨年12月から宗教対立が激化。2000人以上が犠牲となった。刑罰法がほぼ存在せず、司法によって犯罪が追及されない状態なので、自分の手で制裁を下す人が増えているという。3月末の暴動によって多くの避難民が生まれ、その数は63万7000人。31万7000人が周辺国へ逃れている。
WFPとFAOによる報告書では、中央アフリカは昨年初めから深刻な食糧不足に直面。昨年末からの衝突激化で、国中の食糧や家畜などの重要な資産が失われ、約160万人が緊急に食糧を必要としていると伝えている。 グテーレス国連難民高等弁務官は、先月の国連安全保障理事会で「中央アフリカの残虐行為は8年間高等弁務官を務めてきた中で最も過酷な事態」だと警告。WFPチーフ・エコノミストのアリフ・フセイン氏は「まず何よりも暴力を終結させなくてはならない。日を追うごとに緊急支援はより難しく、より費用がかさむようになり、より多くの罪のない人々の命が失われる結果となってしまう」と訴えている。