【会社設立のQ&A】年間所得「800万円以上」なら法人化がおトク?法人化に適した5つのタイミング【司法書士が解説】
集客や収入の安定しない段階においては、ひとまず個人事業主として届出をして、事業が軌道に乗ってきたタイミングで法人化に踏み出すという人も少なくありません。会社設立をする「ベストタイミング」の目安には、具体的にどのようなものがあるのか。加陽麻里布氏(司法書士法人永田町事務所 代表)が、法人化のメリット・デメリットとともに解説します。
法人設立のベストタイミングと注意点
法人化を検討するベストタイミングは、主に「利益の増加が見込まれるとき」「信用力を高める必要があるとき」「税務面のメリットを得たいとき」など、事業の拡大期や転換期が挙げられます。法人化すると、個人事業よりも税率が低く抑えられる場合があるほか、社会保険などの福利厚生を整えやすくなるため、優秀な人材を確保するうえでも有利になります。 法人化には多くのメリットがあります。しかし、決算や税務申告などの手続きが増え、維持コストがかかることも考慮しなければなりません。社会保険の加入義務の発生なども発生します。法人化を考える際には、これらの増加コストをカバーできる収益があるか検討したうえで進めることが重要です。 〈法人化のベストタイミング5選〉 (1)所得:年間所得が800万円を超えたとき (2)売上:年間売上が1000万円を超えたとき (3)資金:株式発行による資金調達を検討しているとき (4)信用:法人としか契約できない取引先と契約締結を要するときなど (5)情熱:起業したいと思ったとき、社長になりたいと思ったとき
(1)所得:年間所得が800万円を超えたとき
所得とは、収入から必要経費を差し引いた額を指します。法人化の目安として年間所得が800万円といわれる理由は、800万円の所得に対して課される所得税率が23%であるためです。 個人事業主の所得税には累進課税(所得が増えるほど税率が上がる)が適用されているのに対し、法人税は一定で、資本金1億円以下の法人なら税率は一律15%です。このため、年間所得が700万円を超えたら法人化を検討し、800万円前後で法人化するのがよいといわれています。