いったいなぜ…無差別殺傷事件が相次ぐ中国が、日本人の「短期滞在ビザ」免除措置を再開したワケ
無差別殺傷事件にベテラン日本駐在員も「限界」
「20年以上中国にいて中国人と家庭をもつ私でも、最近ずっと心が重い。中国語でナイフで人を襲う行為を『砍人』、車で人をはねる行為を『撞人』と言います。中学生の次男がそういう動画をVPNで検索して観ている。親として子供には責任を持てないので、そろそろ引き揚げたほうが良いと思っています」(広州・50代前半) 「長女が小学生に上がる前に日本に戻ろうかと思っています。満州事変が勃発した日は中国では『国恥記念日』と呼ばれています。幼稚園で教わって帰ってきたときに説明しましたが、彼女は理解できていません。物心がつく前にこうした環境から離れるべきだと思うようになりました。親戚もいるので悲しいですが、身も心も中国人になって欲しくない」(上海・40代後半) 「先日、長男と朝マックに訪れたときのこと。混雑でもたもたしているスタッフに向かって『お金払ったのだから早くしろ!』と乱暴な言い方をしていました。その場で叱りつけましたが、商品を受け取ったとき『ありがとう』も言えていなかったので、なぜ叱られたのか彼はわからないんです。今の中国で金持ちは強者。弱者は虐められて当然の社会なんです」(深圳・40代後半) この3人に共通している点がある。 ・中国在住歴20年以上で中国語堪能 ・現地日系企業での勤務歴15年以上 ・パートナー(夫または妻)が中国人 こういう中国ビジネスのベテラン日本人駐在員が「限界」を感じて、子供の未来のために帰国を考え始める。それほど今の中国は“これまでとは違う”のだ。 つづく後編記事『「中国ビザ免除」再開で現地駐在員は虎視眈々…“本番アリ”の店で接待も!“本帰国直訴”の修羅場と化す、ヤバすぎる「出張アテンド」現場』では、現地の駐在員たちの“思惑”と“本音”について、詳報する。
北上 行夫(香港メディア関連会社ファウンダー)