いったいなぜ…無差別殺傷事件が相次ぐ中国が、日本人の「短期滞在ビザ」免除措置を再開したワケ
“南京事件記念日”直前にビザ免除措置再開
新型コロナウイルス禍によって免除措置が停止した2020年3月以来、4年8ヵ月ぶりに、日本人に対する中国短期滞在ビザの免除措置が再開された。 【写真】なぜこんな悲惨な事件が…!衝撃現場の数々…! くしくも「南京事件」の追悼日にあたる12月13日の2週間前の再開措置。中国では「国家公祭日」とされ、被害者を追悼するために香港マカオを含めた中国各地で記念行事が主催される。そんな危ないタイミングに…と元外務省局長は首を傾げる。 「あまりに唐突さを感じさせる発表です。外務省の後輩たちが根回しに動いたうえで成果だと思いますが、在留邦人が1年間でいちばん身の危険を感じる南京事件記念日直前に、なぜあえて再開したのか。『お気遣いは光栄だが、余計なリスクをは排除するために12月13日以降にしていていただきたい』と辞退するのも外交官の職務です。 外務省が出す渡航・滞在の危険情報は、あいかわらず『レベル0』のまま。見直しは検討していないとアナウンスしていますが、実際の民意は異なります。そういう心配の声は、現場の職員の耳にも必ず入っています。 だから、12月13日は日本人学校全てが休校、またはオンライン授業への切り替えたわけでしょう。私の知るかぎり、戦争や災害などの突発的理由をのぞき、レベル0の国にある日本人学校がまともに開校できないケースは聞いたことがありません」(元外務省局長)
外務省HPに公開されている「危険情報」
外務省海外安全ホームページには「2024年11月30日(日本時間)現在有効です」と但し書き付きで、中国の危険情報が公開されている。 【最近、中国各地で人の集まる場所(公園・学校・地下鉄等)やその近辺、路上において刃物によって襲われるなどの凶悪事件が発生しており、邦人が犠牲になる事件も発生しています。外出の際は不審者の接近等、周囲の状況にくれぐれも留意し安全確保に努めてください。また、特にお子さん連れの方は、十分注意して行動されるようにしてください】 まるで他人事のような言い分だ。日本人にとっては、今年9月、深圳市の日本人小学校前で登校中の10歳男児が、母親の前で無職ナイフ男に殺害されたショッキングな事件の記憶が新しい(『腹部や太腿を何度も刺され…深圳の「日本人学校」で起きた「悲劇の闇」が深すぎる!現地では、献花さえも“仕込み”が疑われる「悪循環」が始まった!』)。 深圳・日本人学校男児死亡事件の後も、中国社会では無差別殺傷事件が相次いでいる。「世界で最も安全な国」(中国外務省)で、ほぼ日替わりで同様の事件が起きているのだ。いや、この事件の前にも多発していて、隠しきれなくなった中国当局が居直っていると表現したほうが正しい。 〈中国 無差別殺傷〉などとインターネット検索してみると良い。すでに中国本土では当局の検閲により削除された動画が、日本では大量に閲覧できる。 血の海になった現場に、犠牲者のカバンや運動靴などが散乱し、悲鳴と嗚咽に包まれた凄惨な有り様に言葉を失う。「暴力的で刺激の強いコンテンツ」も含まれており、ほぼ全てが社会報復性の殺人事件で“無敵の人”よる犯行だ。 中国に在住する、著者旧知の日本人に話を聞いた。