楽天FA今江の挑戦とオコエの存在。
楽天の“広報部長”でもある梨田監督が、開幕前夜にソフトバンク戦のスタメンを発表した。阪神の金本監督のように蓋を開けるまでオーダーを煙にまく人がいれば、梨田監督のように開け広げの人もいる。言い換えれば、悩むポジションと打順がないということ。オープン戦終盤で固まってきた並びである。 1番・岡島、2番・銀次、3番・松井稼、4番・ウィーラー、5番・今江、6番・茂木、7番ゴームズ、8番・藤田、9番・嶋の布陣。昨季と変わったのは3人。早大出の新人、茂木が不慣れなショートのポジションを、そのシェアなバッティングで勝ち取って6番に入り、オープン戦で4本塁打を記録した新外国人のゴームズが7番に位置するのも、他球団から見れば怖い打線。 オープン戦の終盤に死球を受けて出場を危ぶまれた嶋が開幕スタメンに名を連ねたのも朗報だが、もう一人の新顔がクリーンナップに座る。 ロッテからFA移籍した今江敏晃・内野手(32)である。 今江はキャンプイン直前の自主トレ中に左ふくらはぎを故障して(左ヒラメ筋炎)2軍スタート。痛めた場所が場所だっただけにリハビリ・メニューが続き、調整は遅れ、3月15日のオープン戦の西武戦からようやく復帰。6試合で20打数3安打2打点という結果だったが、なんとか開幕には滑り込んだ。 「状態としては95パーセント。オープン戦出場は遅れたけれど守備にも長いイニングつかせてもらったし、不安はない。あとは、もう技術や調整の問題じゃなく気持ちだね。開幕は気持ちだよ」 昨年オフには、千葉ロッテとの交渉が暗礁に乗り上げて、アテのないままFA宣言を行使した。今江は推定年俸が2億円あり、高額年俸選手の少ないロッテにおいては、年俸上位3位以内に入っていた。そのためFAの規約では、「Aランク」となり、人的補償を求められない場合、年俸の80パーセントとなる1億6000万円の補償金が必要で、FA移籍の障害となっていた。 だが、楽天の副会長に就任した星野仙一氏がGOサインを出した。梨田監督は「三塁を空けて待つ」とまでラブコールを送った。今江にしてみれば意気に感じる楽天移籍となったが、その使命感が、自主トレでのハイペースに変わり怪我につながってしまった。 だが今江は、その怪我をポジティブに捉えたという。