5時間営業で“年間10億円”…三重の『ローカルスーパー』がネット販売で異例の成功 その徹底したコスト管理
■「私の知る限り日本一の売り上げ」 三重のローカルスーパーが徹底した“コスト管理”で急成長
その難しい分野で成功しているのが、三重県四日市市にある「スーパーサンシ」だ。三重県の北勢地域で13店舗を展開していて、従業員数はパートも含め2500 人ほどの中堅スーパーだ。 スーパーサンシ 高倉照和専務: 2022年実績でネットスーパーで10億円。店舗出荷型では、私の知る限り日本一の売り上げを誇っている。 サンシでは、自社が開発に関わったスマホアプリからネット注文ができる。 目玉商品は広告チラシのようなデザインのページでわかりやすくまとめるなど、幅広い年齢層を意識してレイアウトされている。 8店舗で行っている宅配の売り上げ額と件数は、この10年で倍近くも増加した。サンシによると、売り上げもさることながら、16年連続で黒字をキープし続けている。 その秘密は、店舗の「バックヤード」にあった。 バックヤードには大きな冷蔵ケースがあり、肉や刺し身などの生鮮食品に、惣菜や寿司なども並べられていて、スーパーがもう1店舗あるかのようだ。パートの従業員が、次々に箱詰めをしていく。 スーパーサンシ 高倉照和専務: 非常に生鮮比率が高い。刺身、お肉、お寿司、惣菜関係、非常に多く売れております。今日で店の35%くらいがネットで売れています。毎日が年末みたいな感じですね。 その日の配送分は午前中で締め切り、トータル5時間以内で1日の作業を完了するという。 スーパーサンシ 高倉照和専務: (他の)ネットスーパーですと、1日中ずっとやってたりするんですね。そういうことをやると(採算)合わないかと思います。朝1発で締めて、こういう感じでラインで流す。工場みたいに。そうすることで1件当たりのコストが非常に安く抑えられるんですね。5時間営業で(年間)10億円売るのは、リアルのスーパーでもなかなかないと思いますね。 「黒字」のカギは、徹底した「コストコントロール」だ。 サンシでは、自社のトラックとドライバーを用意している。ネットスーパーにとって高いのは“配送コスト”だからだ。 さらに、原則、自社で設置した宅配ロッカーに「置き配」することで、1件あたり3分ほどで配達でき、再配達による時間のロスを徹底的に排除した。配送料は月額525円(税込)からの「サブスク」だ。 スーパーサンシ 高倉照和専務: 日中の5時間なのでドライバーも5時間なんですね。なので(ドライバーは)主婦の方が非常に多い。日中の時間を活用していただいています。 ドライバーはほとんどが自社のパート従業員で、宅配にかける時間も1日あたり5時間と決めているため、輸送量の減少が懸念される「物流業界の2024年問題」の影響も受けない。 スーパーサンシ 高倉照和専務: スーパーって非常に粗利が低いわけですよね。物流会社に委託してやってしまうと絶対に黒字化しないんですね。再配達をしてしまったら絶対(採算が)合わないんですね。生鮮食品もネット主体で買う時代が近く来るんですよ。これは間違いないですね。 ネット注文を締め切る午前中で、その日の売り上げが確定するため、廃棄や賞味期限間際の値下げのロスも回避している。この仕組みで、儲からないといわれているネットスーパーで黒字を出し続けている。