テザー社、MiCA準拠のステーブルコイン発行会社StablRに投資
1400億ドル(約21兆円、1ドル=153円換算)規模のステーブルコイン「USDT」を手がけるテザー社は12月17日、欧州のステーブルコイン企業StablRに投資したと発表した。 StablRはユーロ連動型ステーブルコイン「EURR」と米ドル連動型ステーブルコイン「USDR」を発行し、7月にはマルタで、EUでの規制を遵守するために必要な電子マネー機関(EMI)のライセンスを取得した。 テザー社はまた、最近発表したトークン化プラットフォーム「Hadron」でStablRの事業をサポートし、コンプライアンス、本人確認(KYC)、マネーロンダリング防止(AML)チェック、リスク管理、流通市場監視のためのツールを提供する。 両社は投資の規模や評価額を明らかにしていない。テザー社の広報担当者はCoinDeskに対し、テザー社は現在、StablRの「相当数の株式」を保有していると述べた。 この投資は、EUのMiCA規制が年内に施行される中、小規模な発行企業を支援し、トークン化プラットフォーム「Hadron」を通じてサービスを提供することで、EUでの足場を固めようとするテザー社の戦略の最新の例である。 同社は先月、自社のユーロ連動型ステーブルコイン事業の終了を決定したが、その一方でオランダの規制下にある決済会社でステーブルコイン発行も手がけるQuantozに投資している。 「欧州のステーブルコイン市場は、規制がようやくイノベーションに追いつき、転換期を迎えている」とテザー社のCEO、パオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)氏はCoinDeskに語り、次のように続けた。 「弊社は、進化する規制の状況を前向きな一歩と見ているが、特にすでに脆弱な欧州の銀行セクターにもたらすシステミック・リスクを懸念してもいる」 テザー社は、主要なステーブルコイン発行企業に裏付け資産の大部分を銀行預金で保有することを義務付けるMiCA規則を声高に批判してきた。同社はUSDTの準備金の83%以上を米国国債、レポ契約、マネー・マーケット・ファンドで保有している。 ステーブルコイン、つまり法定通貨にペッグされた安定した価格を持つ暗号資産は、急速に成長している2000億ドル規模のデジタル資産クラスである。 ステーブルコインは暗号資産取引の流動性として人気があり、従来の銀行の代わりにブロックチェーンを使用した安価で迅速な決済のため、日常的な支払いや送金に使用されることも増えている。 米ドル連動型ステーブルコインが99%近いシェアで市場を支配しており、ユーロ連動型ステーブルコインは普及が遅れ、市場価値はわずか4億ドル程度にとどまっている。 |翻訳・編集:山口晶子|画像:テザー社のパオロ・アルドイノCEO(Tether)|原文:Tether Invests in MiCA-Compliant Stablecoin Issuer StablR
CoinDesk Japan 編集部