実に300日ぶり“ブレイク”のNASCARはレギュラー残り4戦。王座争いとカットラインともに最終局面へ
約4年ぶりに“聖地”の2.5マイルオーバル決戦を終えた2024年NASCARカップシリーズは、実に300日ぶりの“ブレイク”として待ち望まれた約2週間のオリンピック休暇に突入している。 【写真】今季はタイトル防衛に挑む王者ライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング) カイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が勝利し、ふたたびリーダーに返り咲いた第22戦『ブリックヤード400・プレゼンテッド・バイ・PPG』の30周年記念大会を経たシリーズは、8月9日にリッチモンド・レースウェイで再開し、11月10日にフェニックス・レースウェイでポストシーズン最終戦を迎えるまで今季唯一(!)の移動のない週末を迎えた。 開幕以降21週間連続で競技を続けてきたカップ戦だが、恒例のステージ制勝ち抜き方式を採用するプレーオフまであと1カ月ちょっとに迫ったこの段階で、残すレギュラーシーズンのイベントはわずか4戦に。 ここまで最多の年間4勝を挙げ、ステージ勝利の得点を含めて28点のプレーオフ・ポイントを獲得する選手権首位ラーソンを筆頭に、同3勝で24点のランク2位にクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)、同3位にデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE/21点)、そして4位にウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ/16点)と、上位4台をトヨタ陣営のJGRとGMシボレー陣営のヘンドリックが分け合う展開になっている。 さらにランキング5位に続く王者ライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング/12点)以下、7位のオースティン・シンドリック(7点)と、9位のジョーイ・ロガーノ(6点)を抱えるペンスキー勢には、ヘンドリックがジミー・ジョンソン(2006~2010年)を擁して5連覇して以来となる、Next-Gen時代のカップシリーズ3連覇も掛かる(2022年はロガーノ、昨季はブレイニーが戴冠)。 一方、ランキング上位16名を対象に権利を得られるポストシーズン進出争いに目を転じると、未勝利ドライバー最上位となるマーティン・トゥルーエクスJr.(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)が、ランク13位でカットラインまで108点のマージンを持って、引退表明のフルタイム最終シーズンを進めている。 ■逆転でのプレーオフ進出に挑むドライバーたち その当落線上に位置するのは16位で7点マージンの16位ロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)と、同17位で7点ビハインドとなるダレル“バッバ”ウォレスJr.(23XIレーシング/トヨタ・カムリXSE)で、前者はブレイク前の過去6戦で4回の15位以下を経験するなど下降局面に。一方で後者は前戦のブリックヤードで5位に入るなど、そのギャップを縮めつつある。 同じくライン以下18位のチェイス・ブリスコ(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)や、19位のカイル・ブッシュ(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)を含め、残るレギュラー4戦のいずれかで勝利を挙げればプレーオフポイント5点、ステージ優勝(都合8回のチャンス)で1点が加算されるため、まだ逆転プレーオフ進出の可能性は大いに残されている。 また今季限りでスチュワート・ハース・レーシング(SHR)が活動停止を発表したことにより、所属ドライバーの移籍発表が相次いだ過去数週のレースウイークだが、来季3台体制を予定するスパイア・モータースポーツも、このブレイクを前にチーム体制に関する新たな情報をアナウンス。 現在77号車を走らせるカーソン・ホセヴァー(シボレー・カマロ)と、新たにフロントロウ・モータースポーツより移籍加入の71号車マイケル・マクドウェルの起用を表明済みのチームは、改めて今季まで7号車をドライブしてきたコリー・ラジョイとの契約満了を発表。その後任は「然るべき早期に通知する」とした。 これを受け、カップ通算8年間のキャリアを有するラジョイは改めて「来季は7号車をドライブしない」と明かした。「スパイアをグリッド上で立派なチームに育て上げるうえで、重要な役割を担えたことに大きな満足感を感じているが、残念ながら将来は僕に関係がない事項となった」 「僕らは2024年の残りを力強く終え、パートナーや良いクルマを作るために一生懸命働いている仲間、カップシリーズの初日から支えてくれた家族、ファン、友人のために引き続き成果を上げていく」 「この章は(最終戦の)フェニックスで終わりを迎えるが、神が次に僕と僕の家族のために用意してくださっている課題を楽しみにしている」 [オートスポーツweb 2024年07月30日]