時価総額9兆円に迫る「ドージコイン」を支える熱狂とコミュニティの力
米大統領選から約3週間を経た現在、暗号資産市場は強気相場に突入している。セクター全体の時価総額は過去最高の3兆4000億ドル(約526兆円)を突破し、ビットコインは予想を上回る急騰を見せて10万ドル(約1537万円)に近づいている。この熱狂の中で、際立った存在感を放っているのがドージコイン(DOGE)だ。 「最も歴史が長いミームコイン」とされるドージコインは、大統領選以降に150%もの驚異的な上昇を記録したが、ここには次期大統領のドナルド・トランプの公約とイーロン・マスクの政治的影響力が大きく関与している。マスクは長年のドージコインの支持者であり、自らを「ドージファーザー」と称して、X(旧ツイッター)でこのコインを称賛してきた。 また、マスクとバイオテクノロジー企業の元幹部であるビベック・ラマスワミが、新設された「政府効率化省(DOGE:Department of Government Efficiency)」を率いることになったことも、ドージコインを新たな次元に引き上げた。 ドージコインは、暗号資産ブームやソーシャルメディアの過熱を風刺するために作られたが、長い間、単なる一過性の流行として軽視されてきた。しかし、ドージコインはそのハイプ(誇大宣伝)を糧に進化を遂げ、現在の時価総額は580億ドル(約8兆9700億円)にも達している。 ■ドージコインの特徴 ドージコインは2013年に誕生した。このコインは、IBMに勤めていたビル・マーカスとアドビシステムズに勤めていたジャクソン・パーマーという2人のソフトウェアエンジニアが、柴犬のバイラルミームに触発され、暗号資産を取り巻く熱狂や投機を嘲笑する意図を込めて作成した。 DOGEは、技術的にはドージコインブロックチェーンのネイティブ暗号資産であり、ビットコインからフォーク(分岐)したライトコインのフォークとして作られた。ドージコインは、ビットコインと同様のプルーフ・オブ・ワーク(PoW)のコンセンサスアルゴリズムを採用しているが、SHA-256ではなくScryptというハッシュアルゴリズムを使用している。Scryptは専用のASICマイナーに依存しない設計となっており、CPUやGPUなどの汎用ハードウェアでのマイニングが可能だ。この民主化されたアプローチによって、ドージコインは「民衆の通貨」とも呼ばれている。