政党をまとめるのは、総理大臣やるより難しい… 大躍進の立憲・野田佳彦代表が「子ども向けインタビュー」で漏らした本音
目の前の問題を先送りしない
総理大臣になる直前の2011年夏、『エコノミスト』というイギリスの雑誌に「日本化する欧米」という特集記事が載りました。当時のアメリカ大統領のオバマさんと、ドイツの首相のメルケルさんの2人が並んでいるイラストが載っていたんです。 2人とも和服姿で、メルケルさんは頭にかんざしをさしていました。 その2人の後ろに富士山の絵があり、そこに「日本化する欧米」というタイトル。記事の中身は、「オバマも、メルケルを中心としたヨーロッパ・EUも、いろんな問題があるけれど、なんでも先送りする」という内容でした。問題を先送りすることを「日本化」と表現しているわけなんです。国際社会は、日本の政治はなんでも先送りするという見方をしているんだなと思いました。 その時、「自分が総理大臣になったら、目の前の問題については責任をもって決断していこう。問題の先送りはしない」と心に決めました。その思いが、総理大臣としての一番の心構えになりました。
国民の不安をなくしたい
総理大臣としての取り組みの1つ目は、社会保障でした。国民が一番不安に思っていることは、社会保障の分野なんです。医療、年金、介護という老後の生活に関わるところ、それから子育ても社会保障です。子育ての不安と老後の不安。国民はこれを一番心配しています。不安があるから財布のひもをかたく締めて、消費をしないので経済が元気にならないのです。 不安をなくすためには、社会保障の基盤をしっかり作り上げることが大事です。でも、社会保障は国の予算で一番お金がかかる。だからきちんとその財源を確保することが必要だと考えました。そこで、消費税でその財源を確保していこうと、社会保障と税の一体改革をやろうと思いました。負担が増えることはみんな嫌がりますが、誰かが負担しないといろいろなサービスができないわけですから、これは逃げないでやっていこうというのが、総理大臣としての一番大事なテーマでした。 「次の選挙の結果」よりも「次の世代のこと」を考えると、この問題は今やらなければならない、という思いで取り組みました。 2つ目は領土をめぐる問題です。日本にとって大切な問題です。尖閣諸島という島があります。日本では、2012年までは、その島を個人が所有していたんです。しかし、個人では、もし他国が来た時に対応できないケースがあるので、国がきちんとその土地を確保しようと考え、国有化しました。 3つ目は、私が総理大臣になったのは東日本大震災の半年後だったこともあり、東日本大震災の復旧復興に力を入れました。この3つが総理大臣として取り組んだ大きなテーマでした。 総理大臣は、基本的には公務員のスタッフに支えられて、国家のマネジメントをするのが最大のテーマです。そこが一番力を尽くすところです。同時に、民主主義、政党政治ですから、政党が総理大臣をきちんと支えてくれないといけない。 国のマネジメントをする前提として、政党のマネジメントをしなくてはいけない。それが、党のリーダーとしての仕事です。どちらが難しかったかと言えば、政党のマネジメントのほうが難しいという印象です。