人間も自然の一部である感覚を思い出す…海外でも人気が高い「森林浴」の新しい形[FRaU]
ある人は森で過ごす時間を考え、ある人は森を整える。木を伐る人がいて、材を活かしたものづくりをする人がいる。樹木を診察する人、獣害を減らすために狩猟する人もいる。活動団体の代表、木工作家、林業従事者、樹木医、建築家、ハンター。日々、森を歩き、木に触れることで見えてきたこと、そして未来について。木と森に関わるスペシャリストたちに話を聞きました。今回は、森と未来代表理事の小野なぎささんが、東京都立長沼公園の森を歩いた。 古来、人は森の中で暮らし、進化を続けてきた。森との関係が希薄になった現代において、かつてのつながりを取り戻す活動をしている、森と未来代表理事の小野なぎささん。人も自然の一部であるという感覚を取り戻すための「森林浴」とは。
森に入って五感を養い、「森との共生」を取り戻す
「森林浴」とは、森に入って清浄な空気を吸い、心身の健康や癒やしを図ること。これまでのべ2500人を森へ案内し、その森林浴を広めるために活動しているのが、一般社団法人森と未来の代表理事、小野なぎささんだ。 「森林浴と聞いて、かつては『怪しい』と言われたこともありましたが、実際に森に入ることで、ストレスホルモンが減少するなど、森林浴がもたらす効果の科学的エビデンスが多数示されてきました。今では国を超えて、海外でも日本発祥の“Shinrin-yoku”という言葉が知られ、人気が高まっています」
森林浴をするのに、特別に用意する道具はない。歩きやすいウエアとシューズがあれば、あとは「森に入って、佇む」。それだけでいい。 「森林浴をわかりやすく説明するために、三大浴があるという話をしています。『日光浴』『海水浴』『森林浴』。日の光を浴びるだけで日光浴、海に行けば、入らずとも、ビーチに寝転がっているだけでも海水浴といいますよね。だから、森の中で何かをしなければいけないということではなく、緑に囲まれて、木漏れ日を受けて、風や香りを肌で感じて、気持ち良くなれば、それが森林浴なんです」