「ノーベル賞」のその後(2)X線、ニュートリノ、重力波……見えない宇宙を見つめる“目”を開く
「見えない宇宙」をより詳しく見るための新計画
私たちの目では見ることのできない宇宙の世界を、より詳しく見るための新しいプロジェクトが進められています。たとえば、ガンマ線バーストや超新星爆発、巨大なブラックホールから検出されるガンマ線を観測する「CTA(Cherenkov Telescope Array)計画」は、31か国1500人以上の研究者が参加し、従来の10倍もの感度を持つ天文台を北・南半球の2か所に設置して、宇宙全体を観測する計画です。2018年には1号基が完成し、これからの成果が期待されています。 また、重力波の観測では、日本でも2012年から重力波望遠鏡「KAGRA」の建設が進められ、今年2019年に観測を開始する予定です。 このような目には見えない宇宙世界を見つめる研究は、これからどのように私たちの世界を広げていくのでしょうか。研究が進むにつれて、私たちが認識する宇宙の姿は新しくなっていくことでしょう。
10月8日(火) 午後6時45分に受賞者発表
今回紹介した内容については、日本科学未来館の科学コミュニケーターブログでより詳しく解説しています。そして今年のノーベル物理学賞は10月8日(火)午後6時45分(日本時間)から発表されます。どんな世界を見た研究が受賞するのでしょうか。ぜひご注目ください。
◎日本科学未来館 科学コミュニケーター 片平圭貴(かたひら・よしたか) 1983年、大阪府生まれ。京都大学で人力飛行機のパイロットを経験、同大学院エネルギー科学研究科で鉄の精錬を研究。製鉄会社勤務を経て、2016年4月より現職