貯金10万で開業した士業が語る資金準備の正解 (横須賀輝尚 経営コンサルタント)
■開業資金を自力でつくろうとすると、年月がかかりすぎる
提案できる方法としては、資金の半分は自分で用意して、残りの半分を「借りる」ことです。お金を借りるということは、時間を短縮するということです。そのため資金の半分は自分で用意し、半分は借りて準備することで、開業のスピードを早めて準備期間の短縮が可能になります。 ところで、理論上は納得しても感情的にはお金を借りるのが怖いと思う方も非常に多いと思います。私自身も借金に関しては、開業当時は否定派でした。お金を借りるということは、テレビドラマや小説などの影響で「取り立て」「雪だるま式に増える金利」などのような怖いイメージがあります。 私自身も漏れることなくこの「借金アレルギー」になっていて、お金を借りることは最後の手段と考えていました。しかしながら、実際は「借金」は悪いことだらけではないのです。 まず、日本政策金融公庫や都市銀行などの一般的な金融機関からお金を借りることで、一般的にイメージされる取り立てはまずありません。あの恐怖のイメージは、いわゆるヤミ金融といわれるようなところから借りるからこそ起こりうることで、脅迫しても貸したお金が返ってこないことは、融資担当なら理解していることです。 そして、こうした金融機関の金利は一般的に考えられている金利ほど高くなく、返済期間も長いのです。 たとえば私自身、会社として初めて借りたのは日本政策金融公庫から借りた200万円です。この200万円をどのくらいの金利と返済期間で返すかというと、年約3パーセントで5年間。つまり、月々に返済する金額はおよそ4万円から5万円なのです。ですから、いきなり返済が滞るということはまず考えられません。実際は思ったよりのんびりとした返済なのです。 このように、お金を借りることはそれほど大きな恐怖ではありません。月々少しずつ返済し、その返済期間中に売上をつくっていけば、まったく問題ありません。 1ヶ月2ヶ月で返済しろ、その短期間で売上をつくれといわれても難しいかもしれませんが、真剣にビジネスに取り組んで月4から5万円の返済ができないということは逆に考えにくく、言い換えるとその決意ができなければ開業には時期尚早なのかもしれません。