トヨタ系部品メーカー、EV対応加速 駆動装置やコンプレッサー、強み生かす
脱炭素に向けて世界で電気自動車(EV)の普及が進む中、アイシンなどのトヨタ自動車系部品メーカーが、EV向け部品の増産や開発を急いでいる。エンジンなどのガソリン車向け部品はEVで不要になるものが多いため、各社が強みを生かせるEV向け駆動装置など新たな製品に注力する。(共同通信=磯田伊織) EVの需要は足元で減速傾向にあるものの、英調査会社グローバルデータは、世界販売台数に占める割合が2023年の11.3%から2035年には51.3%まで伸びると予測している。 変速機を主力とするアイシンは、モーターやギア、車内の電気を制御するインバーターが一体になったEV向け駆動装置「イーアクスル」を開発。トヨタ初の量産EV「bZ4X」など向けに量産しているほか、2020年代後半には大幅に小型化した次世代製品の投入を目指す。 駆動装置を小さくすることができれば車内を広く設計できるといい、担当者は「徹底的に小型化にこだわる」と話した。他の複数の部品も組み込んだ上で従来より体積を6割、重さを4割減らした試作品が既にできており、搭載した車で走行試験を行っている。
デンソーはインバーターを増産する。2023年に生産を始めた欧州に加え、2026年度にはアジアでも予定する。2030年度の生産台数は2022年度比5.4倍の1900万台を見込む。 2020年には愛知県安城市の拠点にEVなどに関連する研究開発施設「電動開発センター」を設立した。設計と生産の両部門の連携を密接にしたことなどで開発期間が半分になったという。 冷媒と呼ばれるエアコンガスを圧縮し、循環させ車内を冷やすカーエアコン用のコンプレッサーで世界最大手の豊田自動織機は、EV向けコンプレッサーの生産を増やす。ハイブリッド車(HV)向けを含め、2025年度は前年度比2割増の1200万台とする計画だ。 EVは暖房にエンジンの排熱が使えないため、冷房だけでなく暖房の際もコンプレッサーを動かす必要がある。車載電池の冷却を担う役割もあり、より高性能な部品の開発を目指す。