「社会に発信してはじめて大人」芸能人ではタブーとされていた社会的メッセージを杉本彩が発信する理由
啓発には時間がかかる。でもこれなくして世の中は変わらない
――最近は杉本さんだけでなく、動物愛護に関する発信をする著名人が増えましたよね。 杉本彩: 動物愛護について発信してくださる若いタレントさんたちが増えてきたことは、本当にありがたいですね。 ちょっと前までは芸能人が発信をすること自体難しかったんですよ。以前、チャリティーオークションをやったとき、タレントさんに出品のお願いをしても断られることもありました。メリットがないことには関わりたくないということなのでしょう。ちょっと前まではそういう風潮に従っているタレントさんが多かったのですが、最近すごく変わってきたと感じています。 ――その変化はなぜ起こったのだと思いますか? 杉本彩: タレント自身が自らSNSでさまざまな情報を受信・発信できるようになった背景も大きいと思うのですが、本当に多くの団体さんが啓発に力を入れきて、ようやく10年くらいかけてまいた種が花開いてきたのではないでしょうか。啓発って本当に時間がかかるけど、これなくして世の中は絶対に変わらない。忍耐強くやり続けるしかないんです。 ――スポンサーがいて成り立っているメディアで活動する芸能人だと、動物愛護の活動をすることがリスクになることもありますよね。 杉本彩: そうなんです。スポンサーがあって成立しているテレビやメディアもあるので、そこで仕事を得ていこうと思うと黙っていたほうがリスクがないと考えてしまうからです。 あとは芸能プロダクションですね。リスクを回避しようとするプロダクションに所属しているタレントは、プロダクションの意思に従わざるを得ない部分があります。難しい問題ですよね。 ――杉本さんご自身は、芸能人でありながら社会問題について発信することについてどう思いますか? 杉本彩: 私自身は、社会問題について発信することにあまり抵抗はありません。子どもの頃から自分自身がいろんな問題を抱えていてさまざまなことを考える機会がありましたし、LGBTの方も周りにいたし、社会問題がものすごく身近にあったので。 ただ、芸能界では政治のことや社会的メッセージを発信することは、かつてタブーとされている感がありました。「芸能人は可愛く笑ってればいい」みたいに言われていましたし。特に若い人が社会的な発信をすると「何も分かってないのに生意気だ」と言われがちです。 だけど、社会的に発信してはじめて大人だと思うんです。もちろん、行動を起こすには十分に調べて責任あるアクションじゃないといけないとは思いますが、大人として興味を持っていろいろ勉強をして発信していくことは必要ではないでしょうか。 ----- 杉本彩 タレント。女優。1968年生まれ、京都府出身。AB型。1987年に東レ水着キャンペーンガールとしてデビュー。96年に日本テレビ系バラエティ『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』で社交ダンスに参加し、話題となる。映画・ドラマ・バラエティーに出演するほか、作家、動物愛護活動家、化粧品のプロデュースも手掛け、エステサロンの社長を務めるなど多方面で活躍。 文:姫野桂 (この動画記事は、TBSラジオ「荻上チキ・Session」とYahoo! JAPANが共同で制作しました)