手しごとの原点を見据えてきた稀有なマーケットが10年問い続けてきたこと
自分なりの視点で見つめてみる。自分なりの感触で触れてみる。その小さな経験の積み重ねが、新しい時代を生き抜く知恵になる。そんな「未来への種まき」をコンセプトとした活動のひとつとして、マザーディクショナリーが続けてきた「TRACING THE ROOTS」。
「初回から全10回通して出展している「LIGHT YEARS」、「宝島染工」、「WONDER FUL LIFE」(初回は「Kitica」)をはじめ、金井志人、小林和人、森岡督行、菓子屋ここのつ、相良郁弥、黒田雪子、野村友里など、これまで参加したアーティストは延べ200組。みなさんとともに辿った10年は、関係性を育みながら新たなものづくりをしてきた本当に豊かな時間で、今まさに時は満ち、実が熟したという感じです。だからここでひと区切り。新しい景色を見に新しい道へ」
2024年11月、マザーディクショナリーは町田の梁田寺から依頼を受けて企画制作した「500年の学校」をスタート。デンマーク発祥の「フォルケホイスコーレ」をモデルにしたもので、他者との対話を通じて自己と向き合い、人生を豊かにしていくための学校だといいます。
「忙しい日々の中で、自分にじっくり向き合う時間を持てなかったり、一人で向き合うと苦しくなってしまったり。そんな方たちに向けた一年間の学校で、月に一回、豊かな自然の中で座禅を組んだり、精進料理をいただいたり、いろんなアーティストの方たちの講座を受けたり。それによって答えが見つかりますよ、悩みが解決されますよ、ということではなく、いろんな人たちと一緒に時間を過ごすなかで、ご自身の中に何かがポッと灯るといいなと。『TRACING THE ROOTS』と同じでわかりやすい答えを提示せず、それぞれが何かを感じるきっかけになればと思います」
自分を見つめ、これからの人生を考える「500年の学校」は、今社会現象にもなっているミッドライフクライシスに直面する人たちにも何かしらの気づきを与えてくれそうです。