スキー場の“倒産件数”は過去最多でも「なぜか好業績」のスノーリゾート会社の存在。稼ぐのは“冬だけ”じゃない
ストック急上昇! “スノー”だけじゃない会社の実力
日本スキー場開発の株価は2024年末にかけて順調に上昇し、12月26日に年初来高値を更新しました。その背景には、国内のスキー人口減少や雪不足が叫ばれるなかでも、好調な業績を続けている事実があります。2024年7月期の連結決算においては、売上高82億4500万円と前年同期比で約20%増加し、営業利益は50%増と大幅に伸びました。最終利益を含め、すべての利益段階で過去最高を更新しています。 これほどまでの成長がウィンターシーズンだけで実現できるはずはありません。日本スキー場開発は、長野県の白馬や鹿島槍、竜王といった複数のスキー場を買収し、グループとしての「年間を通じた」山岳リゾート体験を提供できる体制を整えてきました。雪のない季節にも絶景やアクティビティを求めて訪れる人々の需要を取り込み、ゴンドラリフトのチケット収益を柱とした運営を行っているのです。 ウィンターシーズン以外の“グリーンシーズン”での売上高は全体の約3割に達しているとも言われています。これが年間を通じての収益の底上げにつながり、安定経営を可能にしているのです。
「雪のシーズンが始まると株価が上がる」という先入観を超えて
スキー場運営企業と聞くと、多くの投資家やアナリストは「雪のあるときだけ儲かる」というイメージを抱きがちです。たしかに以前は、降雪量が多いシーズンにいかに集客できるかが利益を左右していました。しかし日本スキーは、この“冬のみ”のビジネスモデルから脱却しようとしてきました。 その象徴が、夏や秋にも絶景やアクティビティを提供する取り組みです。長野県の白馬エリアでは、山頂や中腹のテラスから見下ろす壮大な景観や、空に向かって大きくこぎ出すような巨大ブランコなどがSNSで話題を集めています。紅葉シーズンにはゴンドラ乗り場に長蛇の列ができ、1時間以上待つことも珍しくありません。これまではウィンタースポーツとは縁遠かったファミリー層やペット連れのお客さんが多数訪れるようになり、秋口でも活況を呈しているのです。 こうした成功事例によって「雪次第」という先入観が払拭され、“通年で収益を伸ばせる企業”として評価されるようになっています。