ディーゼル車だとアドブルーが凍る!? 極寒のフィンランドでもBEVトラックは性能を維持!
アドブルーが凍る極低温でも安定した性能
ルノー・トラックスの電動モビリティ担当ディレクター、レギス・ピエール氏は、この結果を次のように解説する。 「この試験は厳しい冬期環境でも電気トラックが完全に運用可能であることを実証しています。一般に信じられているのとは真逆の結果ですが、航続距離や充電など、低温による影響は一切ありませんでした。 キャブの暖房も航続距離には大きな影響を与えませんでした。これはルノー・トラックスのプログラマブルな予熱システムにより、ヒーターのエネルギー消費を最適化できたからです」。 外気温がマイナス19度まで下がる厳しい環境でもBEVトラックはディーゼル車と同等のパフォーマンスを維持した。通常の環境と比べると少しだけ(10~15%)エネルギー消費が増えたが、これはディーゼル車を含む他のパワートレーンでも起きる現象で、冬用タイヤによる燃費(電費)悪化や空気抵抗によるものだという。 また、ピエール氏はフィンランドの顧客から聞いた話として「前シーズンの冬の、気温が氷点下30度を下回った日に唯一始動したのがルノーのBEVトラックだった」というエピソードを紹介している。 冷え込みが厳しい日にディーゼル車のエンジンがかからなかったのは、低温によりアドブルー(ディーゼルエンジンの排ガス処理用の尿素水で、現在の大型車では必須)が凍り付いてしまったためだ。 こうした顧客の実体験は、バッテリーの温度管理システムを備えるBEVトラックが、極端な低温環境ではディーゼル車よりも信頼できることを示しているという。 ルノー・トラックスは電動ソリューションの運用性と信頼性を確認して、1年近くに及んだ実践的デモンストレーションを締めくくった。