不透明な2020年東京五輪での侍ジャパン
東京五輪での野球・ソフトボールの復活が決定した。関係者にとっては、悲願の五輪復活で、気の早いワイドショーなどは、4年後の東京五輪を戦う侍ジャパンの想定メンバーを発表していた。THE PAGEでも同様の企画を考えて、北京五輪代表である元千葉ロッテの里崎智也氏に協力を求めたが、“ちょっと待って”の問題に突き当たった。「4年後って想定できないんじぇね?」という大きな壁がある。東京五輪メンバーを不透明にする最大の問題はメジャーリーガーの参加問題である。 「4年後の東京五輪のエースになる人、4番になる人の名前が色々と出ていますが、大前提として、果たしてその人たちが、4年後、日本の球団でプレーしているの? という問題があります。まだ、MLBが五輪に選手を派遣するかどうかも不透明です。東京五輪はMLBのシーズン真っ只中の開催ですし、過去の例から言っても、いくらMLBに嘆願してもメジャー契約の選手を各球団が五輪期間だけチームを離れさせることを許可するとは思えません。となると、今、4年後のメンバーを想定することはできないでしょう。野球界は、4年経過すれば、構図は大きく変わります。例えば、今年のルーキーの平沢大河、オコエ瑠偉が4年後に大化けしている可能性もあるわけですからね」 里崎氏の指摘。もっともである。 今回の東京五輪決定を受けて、4年後のエース、中心人物として名前が挙がったのは、ピッチャーでは日ハムの大谷翔平(22)、巨人の菅野智之(26)、ソフトバンクの武田翔太(23)、千賀滉大(23)、楽天の則本昴大(25)、松井裕樹(21)。打者ではヤクルトの山田哲人(24)、横浜DeNAの筒香嘉智(24)、ソフトバンクの柳田悠岐(27)らだ。 だが大谷は、いつポスティングによるメジャー移籍をしてもおかしくなく、則本、筒香、柳田も、メジャー志向が強い。いずれも4年後までに海外FA権は取得できないが、ポスティング制度を使えば、メジャー移籍は可能。菅野や山田は、今のところメジャーに興味を示していないが、あと4年もあれば、いつ何がきっかけとなって、メジャーへ舵を切るかもわからない。 今の想定メンバーの軸がこぞって東京五輪までにメジャー移籍してしまえば、彼らを侍メンバーとして招集することはできなくなる。そう考えると、現段階で4年後のメンバーは不透明のままなのだ。