二軍で打ちまくっても一軍昇格ならず ドラ1ルーキーDeNA度会隆輝が抱える「技術以前の問題」
史上初となる新人の開幕から2試合連続本塁打を放つなど華々しい活躍を見せながら、その後、変化球への対応に苦しみ、打率が.231まで降下。5月16日に二軍に降格したDeNAのドラフト1位ルーキー度会隆輝(21)はファームの試合で打ちまくっている。2軍ではほぼ毎試合にスタメン出場し、14試合に出て打率.333、1本塁打、5打点(6月3日時点)。試合を見た他球団の関係者はこう明かす。 「アイツを潰せ!」「相手を挑発するな!」DeNAのスーパールーキー・度会隆輝を襲った”試練” 「バッティングは非凡なものを感じさせます。彼のよさはどんな球にもコンタクトできて対応できていますし、二軍では無双に近いなと。課題とされた変化球と左投手への対応は、実戦を積みながら一軍レベルのものを習得できると思います。 ただ、同じ外野手の11年目、関根大気が5月30日に二軍落ちしたとき、一軍昇格の声がかかったのは度会ではなく、3年目の梶原昂希でした。度会はおそらく、バッティング以外のところに課題があるのだろうと感じました」 父はヤクルトで11年間、プレーした博文氏(52)。その次男である隆輝は横浜高時代には2度、甲子園に出場し、社会人野球の名門・ENEOSを経てプロ入りした。入寮時には’21年冬から親交があったイチロー氏(50)と年明けに食事したことを惜しげもなく披露するなど、その持ち前の明るいキャラクターはファンにインパクトを残し、スター性も感じさせるが、今は「技術以前の課題」を抱えているのだという。度会隆輝をアマチュア時代から見てきた別の他球団スタッフがこう明かす。 「三浦(大輔)監督は度会に二軍行きを命じた直後、『課題はいろいろある。守備、走塁、それ以外の面でも』と報道陣に語っていましたよね。その『それ以外の面』という言葉に深い意味を感じています」 いったいどういうことなのか。 「試合前の準備について言っているのだと思います。度会が得意なバッティング練習を優先するあまり、本来やらなければいけない試合前の守備練習をおろそかにしたり、ベンチスタートが決まった試合で、試合開始10分前にベンチ裏の食堂で食事をしていたこともあったそうです。 その時間帯は試合前の選手たちの練習のサポートを終えた裏方さんたちがベンチに戻ってきて食べていることはあっても、スタメンの選手はもちろん、控え選手も何かあったらすぐに試合に出られるよう、ベンチで試合に備えていなければいけないはずなんです」 実際、二軍降格を命じられる前の5月8日、本拠地で行われたヤクルト戦で、度会はライトにフラッとあがった飛球が上空の風にあおられたのに対応しきれず落球。相手に追加点を許し、プロ入り後、初のタイムリーエラーを記録してしまった。 三浦監督は試合後、このプレーについて「風はずっと吹いていますし、ホームグラウンドですし」と天候は理由にならないことを示唆するコメントを残している。試合前の守備練習で、上空の風がどう吹くのか、光がどう入るのかを含めて確認しなければいけないが、あの失策が起きてしまったのは「練習をおろそかにしている」ツケだと見られても仕方がないだろう。それは結果的に周囲の信頼を失うことにもつながってしまう。 別の球界関係者がこう明かす。 「彼は1年目なので寮生活をしていると思いますが、外泊許可を取らずに外泊してしまったこともあった、と聞きました。昨年までプレーしていたアマチュアでは、改善するよう、周りの人から直接、厳しく注意されることもあるかもしれませんが、プロに入ると特に一軍では球団スタッフが言わない限り、教えてくれる人はいないでしょう。選手もそれぞれみんな、自分の生活が懸かっているし、ポジションを奪われたくないから、いちいち注意しない。 だから自分の置かれた立場を自覚した上で、プロ球団のルールやしきたりを学んで対応していくしかないんです。もし『自分のよさを失いたくない』と考えて今の自分のスタイルを貫きたいのであれば、それこそ、イチローぐらいに突き抜けた結果を残すしかありません」 度会がもう一度、一軍にあがれるかどうかは、自分の本当の課題に早く気づけるか、にかかっている。
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