【#佐藤優のシン世界地図探索63】"永世孤立国"日本は「永世中立国」スイスを越えられるのか?
佐藤 その代わり、その可能性が排除されなくなります。また最近、出て来る政治家にはすごい人がいます。いまYouTubeのおかげでアイドルが全員、地下アイドルみたいになっています。政治家も同じで、迷惑系ユーチューバーみたいなのが出て来ました。 つばさの党の幹部が政治活動で逮捕されましたが、あれは中核派とか革マル以来、50年ぶりの出来事です。そんなわけが分からない大変な時代になっちゃっています。 ――確かに。さらに頼りのメディア報道がズレているのでしょうね。 佐藤 5月に創価学会の原田稔会長が、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇と会談しました。しかし、それに関する全国紙の報道はゼロです。本来ニュースになると思いませんか? ――はい。 佐藤 全体的になんか、変な感じがしません? ――はい。新聞・メディアがダメになったら、皆、YouTubeやSNSだけを見て世の中を判断していくから、さらにグチャグチャになる。 佐藤 だから"YouTube空間の真実"が現れます。そこにはもう事実はいらなくて、必要なのは主観的な真実だということです。事実を無視して、主観的な真実を追求するという感じですね。 ――そして、その真実はYouTube上でどうにでも作れてしまう。 佐藤 そう、ポストトゥルースであり、ポストファクトの時代になっていきます。 ――えげつないことになっています......。 佐藤 私がこの連載でやっているのは、「人間ドック」なんですよ。健康診断や人間ドックを受けずに大丈夫だというのは、実際は大丈夫ではありません。人間ドックでMRIやCTスキャンを撮るのと同じで、ここでは国際情勢がどうなっているかということを説明しているわけです。 ――はい。 佐藤 それでちょっと胃が痛くて、胃がんかもしれない。しかし、検査して胃がんではなく、飲み過ぎですねとなる。これが中露首脳会談です。 ――その程度の出来事が中露首脳会談だったと。 佐藤 そうです。逆に足が痛くて筋肉痛でしょうか?とエコーで調べると、動脈硬化でかなり進行していることが判明したとします。こういうのが政治資金規正法の問題です。 ――仕組みの欠陥が分かる。 佐藤 もっと応援してカンパすれば、ウクライナが勝つんじゃないかというのは、きのこを煎じた汁を飲めば、末期がんが治るみたいな話ですよね。 ――なるほど。 佐藤 だから、今の日本の論壇をみて思うのですが、これはある意味、私の存在価値にもなるんだけど、私は完全に嫌われ者グループの3つに近いと見られているんですよね。 ――それはまたすごい!!