【#佐藤優のシン世界地図探索63】"永世孤立国"日本は「永世中立国」スイスを越えられるのか?
佐藤 永世中立国のスイスもそういう国です。スイスは当事者にとって深刻でも、国民にも国家にも、世界にとっても無関係な事柄でよく政争が起きる国です。それは、永世中立国で、外敵が入って来ることがないからなんですよ。 ――すると、日本は"永世孤立国"になっているのではないですか? 佐藤 そう、永世孤立国ですよ。米国との同盟国なのに、ウクライナに殺傷能力のある兵器を送ってないんですから。 ――だから、日本は永世孤立国として5万円だか10万円だかのパーティー券公開基準で争っているんですね。 佐藤 そういうことです。しかし、その永世孤立国・日本ですさまじい破壊兵器がこれから作動しようとしています。 ――何ですか、それは? 佐藤 連座制です。この意味分かりますか? ――いえ、分かりません。 佐藤 法哲学者の安藤馨一橋大学教授の解説が分かりやすいので、まずはそれを読んでほしいですね。 ――朝日新聞コラムの『政治資金規正法の改正提案「連座制」がゆがめる政治的権利』でありますね。これを読むと、有能で未来のある政治家が、法律上で暗殺可能となります。江戸時代の五人組同じ。ひとりが罪を犯したら、残りの4人も同様に罰すると。 佐藤 そう、犯罪者と個人的な関係があるから、罪の責任を取るのが連座制です。政治資金規正法の原則は、自分が行なった罪に対して責任を負うものです。しかし、連座制が導入されれば関与していない人間にも責任が問われます。これが制定されると、野党が一番被害を被る可能性があります。 ――野党の得意技のひとつ、ブーメランですね。 佐藤 自民党の場合は、例えば首相候補になりえる政治家の事務所に、会計責任者を送り込みます。そして、買収とか何かやらせれば連座制でその政治家も消えます。 もちろん、政治家本人が関与していていれば責任を取るのは当たり前です。それで責任が問われないのは法制度の不備ではなく、捜査能力の問題。ただ、関与の有無に関係なく責任を取らせるのであれば、大変なことになりますよ。 ――合法的な暗殺が可能になる......。 佐藤 日本共産党は「罰金では弱いから禁固刑にしろ」と言っています。 ――もし立憲民主党政権になると、もれなく共産党が付いてくると前回おっしゃっていました。このまま連座制の政治資金規正法が国会で決議されれば、怖い事が連座して発生すると......。