重力波の重要な性質「トランバース・トレースレス」を知ってますか?じつはこれが重力波を検出する手段です!
重力波が実験装置を通過すると
ここで、重力波が我々の実験装置を通過したとしましょう。 片方のレーザー光の往復の経路は伸びて、受信器に遅れて到着します。もう一方からのレーザー光の往復の経路は短くなるため、通常より早く到着します。この違いは、前項で見た重力波のトレースレスの性質に起因します。 この結果、片方からのレーザー光の山の位置(あるいは、波動の山の時刻)ともう一方からの山の位置はずれますから、受信器では両方からのレーザー光が弱め合って、元よりも暗い状態で観測されます。この現象を「波の干渉」といいます。 この干渉の計測から、微小な時空の歪みの変動を検出するのが、大型レーザー干渉計を用いた「重力波望遠鏡」なのです。 ---------- ----------
浅田 秀樹(弘前大学 理工学研究科 宇宙物理学研究センター センター長・教授)