「10年間で115駅」が廃止になったJR北海道。“もうじき営業終了”の5駅に足を運んでみた
④滝ノ上駅
そして、次は石勝線の滝ノ上駅(北海道夕張市)。新千歳空港から40㎞圏内と比較的近いが、1日に停車する列車の本数はたったの5本。そのため、大半の鉄道ファンは昼間に唯一アクセス可能な12時到着の列車で千歳方面から訪れ、新夕張駅始発の折り返しの千歳行き普通列車が来る12時49分まで滞在する。 筆者もこれを利用したが、訪問したのは快速・普通列車の乗り放題『青春18きっぷ』の利用期間外の1月の某週末。それでも10人以上の鉄道ファンが滝野駅で下車し、全員がカメラやスマホでひたすら写真を撮りまくっていた。 2つのスノーシェルターの間に位置する滝ノ上駅は、今春廃止になる駅ではいちばん歴史が古く、開業は1897年(※当初は貨物駅。旅客駅となったのは1901年から)。最盛期の1965年の乗車人員は年間6万6156人(※『改訂増補 夕張市史 下巻』より)だったが炭鉱閉山後は利用客は減少の一途を辿り、17~21年は1日平均3人以下(※JR北海道『駅別乗車人員』より)と2万2000分の1以下に激減している。駅に発着する1両ワンマン列車に不釣り合いな長すぎるホームは当時の名残だろう。
⑤中ノ沢駅
最後に紹介するのが函館本線の中ノ沢駅(北海道長万部町)。車掌車を待合室に改造した北海道ではよく見かけるタイプの無人駅だ。 停車するのは1日上下線ともに普通列車8本ずつだが、札幌―函館間を毎日11往復する特急『北斗』や1日平均50本と言われる貨物列車など通過する列車は非常に多い。 それでも町のホームページによれば、駅のある中ノ沢地区の人口は2月末時点で105人。駅とほぼ並行して走る国道5号線と海岸の間には住宅街が存在しているが地元の人は車で移動し、利用は通学で使う数名の学生に限定されているようだ。 ちなみに次の駅までは1時間半近くあったため、海鮮たっぷりの『浜ちゃんぽん』が名物という駅近くのドライブインで食事しようと向かうがこの日は生憎のお休み。ほかに飲食店やコンビニもないため、駅に戻るも日が沈んだ途端、大雪に。情緒を感じるレベルの降り方ではなかったが、そういうところも含めて北海道なのだろう。 ===== 特に冬場は除雪のための人員やコストの問題もあるので仕方ないとはいえ、駅がまた消えゆくのはさびしい限り。せめて記憶の中にはしっかりと焼き付けておきたいと思う。 <TEXT/高島昌俊> 【高島昌俊】 フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。
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