公立中学の内申点、親世代より「評定5」の割合が増加? 高校受験塾講師が教えるイマドキの内申点事情
■「内申インフレ」の功罪 相対評価を受けた世代の評定のイメージは次のようなものです。 5 → 優秀 4 → 少し優秀 3 → 普通 2 → 学力に不安あり しかし、現在の評定のイメージは次のようになります。 5 → 優秀~少し優秀 4 → 普通 3 → 学力に不安あり 2 → 学力にかなり不安あり 内申インフレの影響で、保護者と塾講師の間で、評定の認識に溝ができています。内申インフレの恩恵は、上位校を目指す受験生が受けています。高い評価を得る受験生が増加したことで、難関高校を目指す動機づけとなり、より高い目標を持つ受験生が増えました。難関高校を目指す受験生にとってはプラス要素になっています。しかし、この内申インフレは塾側にとって、必ずしも歓迎できるものではありません。学力下位層の生徒とその保護者が、危機感を抱きづらくなってしまったからです。現行の「オール3」は、学力的には平均を下回る状況です。ところが、保護者は相対評価時代のイメージがあるので、真ん中ぐらいの学力はあるだろうと錯覚してしまいます。中学3年生で模試を受けて、その現実を知り、慌てふためくことになります。
■「あの中学は内申が甘い!? 」内申格差の正体 保護者がこんな噂話をすることがあります。「A中学は内申点が取りづらいらしい」「B中学は内申点が取りやすいと聞いた」こうした内申点に関する噂のほとんどが、丹念に分析を進めると的外れであることがわかります。 実際に学校によって「内申格差」はあるようです。次の表は、文京区立のある中学校と、都内のある市立中学校の評定の分布図です。文京区は都内でもトップクラスの高学力エリアです。区立中学校全体の評定「5」と「4」の割合は48 %にのぼります。つまり、ほぼ2人に1人の評定が「4」以上であるということです。文京区立中学校は、評定が甘い先生が集まっているのでしょうか。そんなことはありません。学力の高い生徒が多いから、評定が高くなるのです。学校の先生はエリアを超えて異動をします。中学校の評定は9人の先生の平均値です。特定の中学に、評定の甘い先生が集まることはありません。評定平均の高い中学校は、内申点が取りやすいわけではありません。学力の高い生徒が集中するエリアの中学校であるということです。内申点に関する噂話には、惑わされないようにしましょう。