【大学トレンド】広がる大学1年生からの「職業体験」 大学の単位に認定も、インターンとの違いは?
大学3・4年生が企業などで仕事を体験するインターンシップが盛んになっていますが、それ以前の大学1・2年生を対象にした就業体験も広まっています。就職活動の一環である3・4年生向けのインターンシップとは異なり、1・2年生向けは採用とは直接関係のないキャリア教育として行われ、授業として単位を認める大学も目立ってきました。授業に就業体験を取り入れる意義は、どこにあるのでしょうか。 【写真】昔のイメージとは大違い? 女子高生に人気の意外な大学
インターンシップは平均8.93社
最近は、就職活動前に学生が企業で仕事を体験することが一般的になりつつあります。マイナビが行った調査では、2025年3月に卒業予定の大学生と大学院生の85.7%がインターンシップや就業体験に参加したことがあると回答しています。 リクルートの就職みらい研究所による就職プロセス調査でも、24年卒の学生でインターンシップや1日の仕事体験に参加したのは93.6%、参加した会社数の平均は8.93社で、いずれも23年卒より増加しています。 インターンシップは、学生が企業の仕事や社内の雰囲気を知ることのできる機会です。マイナビの調査(23年卒)では、学生時代に勤務先のインターンシップに参加した層のほうが、参加しなかった層よりも入社半年後の満足度が高くなっています。参加した回数と日数でも差が出ており、インターンシップに2回以上、2日以上参加した層のほうが、1回、1日参加の層よりも満足度が高くなっています。
就業体験を単位に認定
これまでは、どの学年の就業体験も「インターンシップ」と呼ばれていましたが、25年卒の学生からは、学部3年生以上を対象に一定の要件をクリアしたものだけをインターンシップと呼ぶようになりました。1・2年生が参加するものは、就職には直結しないキャリア教育の取り組みとして位置づけられています。 お茶の水女子大学では、中長期的な視点に基づいたキャリア教育の一環として、06年から就業体験を授業に取り入れ、単位として認めてきました。2000年代前半は「就職氷河期」と呼ばれ、就職状況が悪化して、優秀な学生でも正社員になれないケースが頻出したことが背景にあります。 その後、新たに企画されたのが、経済同友会と連携した1・2年生向けの就業体験でした。 お茶の水女子大学生活科学部の永瀬伸子教授は、こう振り返ります。 「当時の室伏きみ子学長が経済同友会の会員だったこともあり、財界トップの方々と学生を育てるために何をするべきかを話し合いました。そして16年度から、大学と企業が相互にプログラムに関与し、その後の学びに生かせることを目指して、経済同友会会員の所属企業に1・2年生を派遣する、2週間程度の就業体験が始まりました」 現在では、北海道大学、九州大学、昭和女子大学、東洋大学などの全国18大学と、国立高等専門学校機構、それにイオン、日本航空、三井住友銀行などの企業31社が経済同友会インターンシップ推進協会に正会員として加盟しています。 この経済同友会との取り組みで、お茶の水女子大学は23年度に10人の学生を企業に派遣しました。 大学は参加を希望する学生を募集、選抜し、派遣する企業を決め、学生は参加前の授業で自分が行く企業について調べ、自己紹介の仕方やマナーを学びます。体験後には、どんな学びがあったのかという成果を発表します。大学を通すことで大手企業の仕事を体験できるうえ、前後に大学による丁寧なフォローがあり、単位も認定されます。