ここ数年、耳にする「駅伝強いよね」 外さない法大が箱根総合5位へ、課題は「復路の主要区間」
「箱根駅伝監督、令和の指導論」 法政大・坪田智夫監督/第4回
第101回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)が1月2、3日に行われる。「THE ANSWER」は令和を迎えた正月の風物詩を戦う各校の指導者に注目。3年連続シード権を獲得し、安定した成績に導いているのが法政大・坪田智夫監督だ。10年連続85度目の出場と今回、目標に掲げているのは総合5位。前回6区区間賞の武田和馬(4年)、5000m法大記録を出した大島史也(3年)らに期待が集まるが、指揮官は「簡単じゃない」と危機感を募らせているという。(全4回の第4回、聞き手=佐藤 俊、取材は11月中旬) 【画像】今年の箱根駅伝で話題になった「山の名探偵」の写真 ◇ ◇ ◇ ――今シーズンの法政大ですが、春のトラックシーズンはもう一つだった気がします。これには何か理由があるのでしょうか。 「トラックを軽視しているわけじゃないですけど、例年、ある程度、夏に向けての準備を春先から年間通してずっとやってきた経緯があります。今年は、1回に走る量をガッツリ増やすのではなく、練習するまでの移動やアップなどの見えない距離を増やしてきたので、なかなかトラックに移行できない部分がありました。やはり箱根駅伝が一番大事ですし、そのためにロード中心での強化を重視していたので」 ――どのくらい見えない距離が増えたのですか。 「例えば朝練習は、だいたい12キロぐらい走るのですが、前後のウォーミングアップ、クールダウンというところで2キロ程度増やしていく感じです。2年前に比べると1日の距離で8キロぐらい増えていると思います。うちは、5000mで13分40秒を切る選手がそんなにいないので、箱根で勝負するためには地道に量を増やして距離に対する余裕度を持たせていくことが大事なのです」 ――夏合宿は順調に終えられたのですか。 「今年の夏合宿は、練習の量的なものをキープしつつ、強度の高い練習が出来たので、ほぼパーフェクトに仕上げることができました」
箱根本番への調整、12月は「いかに頑張らせないか」が鍵に
9月、夏の成果を試すべく参加した絆記録会では、5000mで大島史也(3年)が13分35秒33の法大記録を出し、27名中16名がPBを更新した。 ――絆記録会までいい流れ出来ていましたが、駅伝の初戦である出雲は9位でした。 「夏合宿の成果が出ていたので、出雲は勝負をしに行ったのです。でも、合宿から記録会の流れの中で記録を出し、ホッとして一息ついてしまい、ちょっと気持ちが落ち気味で出雲に入ってしまいました。本番への持って行き方を失敗し、私の経験不足が出てしまいました。強いチームだと記録を出して、さらにもう一段上を行くみたいな感じがあるんですけど、そこがうちはまだないので本当の強さがまだまだだなぁというのは感じました」 ――箱根に向けての調整はどのように進めていくのですか。 「全日本(予選会落選)がなかったので、どうしようかなと考えていたのですが、MARCHを含めて試合に出して、12月は少し休ませてロードに慣れさせる練習をして、のんびりと合宿をしました。昔は、けっこうガンガン練習をしていたんです。みんな、箱根に出たいので頑張ってしまい、けっこう故障者が出たりしたので、今は12月はいかに頑張らせないかというのを考えています」 ――MARCH対抗戦(5000m)で大島史也選手が法大記録(13分35秒33)を塗り替えました。 「大島は、ペース走みたいな感じだったんですが、このくらいは走るだろうと思っていました。湯田(陽平兵・2年・14分03秒98)は、大島ぐらいのところでゴールしてほしいなぁというぐらい練習が良くできていたので期待していましたが、ちょっと大きく外し過ぎたかなと。ただ、世羅高の都大路優勝メンバーだった花岡(慶次・3年)が練習がパーフェクトに出来ていない中、上尾ハーフ(63分40秒)で戻って来たのは大きいですし、1年生はMARCHでは結果が出なかったんですけど、福田(大馳・1年・14分20秒89)はアベレージできっちり走れたので、計算できるところまできたのは収穫でした」 ――前回6区区間賞の武田和馬選手の配置は、もう決まっている感じでしょうか。 「6区で行くのか、平地で起用するのか、まだちょっと考えています。武田は前回、箱根のエントリーが終わった時に、『悪いけど下り、行ってくれるか』と下りのテストもせずに任せて結果を出してくれました。今回も下りで普通に走ってくれるでしょうし、平地の武田も見てみたいところがあるので、そこは考えます」