ここ数年、耳にする「駅伝強いよね」 外さない法大が箱根総合5位へ、課題は「復路の主要区間」
目標の総合5位へ、課題は「復路の主要区間」
法政大は、100回大会まで3年連続でシード権を獲得している。チームの目標は5位だが、坪田監督は「簡単じゃない」と危機感を募らせている。 ――法政大は、ここ数年、外さないと言われ、安定感が出てきています。 「駅伝、強いよねと言われますけど、かなり練習をしているので、ある程度前に行けば崩れない戦いはできますし、昔みたいに当たり外れのないチームになってきています。うちの課題は、9区とか復路の主要区間でガッといけるような選手がいないところです。練習では、みんな、ある程度まとめてくれるし、計算はできるんですけど、爆発力のあるゲームチェンジャーの走りをしてくれる選手がいないんです」 ――上位を戦うには戦力的には、まだ足りないということでしょうか。 「10年以上かけて戦える土台作りはできたと思うんですが、3強と言われているところに食い込むには、勝負できる選手を3、4人作って行かないと難しいです。私もやるからには上を目指したいですし、優勝するために勝負したいという気持ちがあります。そのためには、もう少し学生主導で動いて行かないといけないと感じています」 ――法政は、学生が自立し、考えて練習するのがベースになっていますが、それ以外にも必要なことがあるのですか。 「勝負に『勝つよ』という雰囲気作りは、指導者が主導するのではなく、私は学生からそういう雰囲気作りをすべきだと思っています。それが学生スポーツのあるべき姿で、私はその手助けをする、微調整する立場かなと。うちのチームは、まだその雰囲気作りができていない。上尾ハーフでは平林(清澄・国学大)君が沿道で応援していましたけど、そうしてチームが勝つ方向に自ら持っていっているんです。青学大も世田谷ハーフで上位を独占しましたが、レース後のケアも丁寧で徹底されていますし、選手が自らやっているというのを感じました。そういう強いチームと比べると、うちはまだやるべきことが多いなと思います」 ――学生たちに勝ちに行くことを積極的に発信してほしいということですか。 「それはすごく大事なことだと思います。指導者があーだこーだ言わなくても学生が自主的にやっていく。勝つチームはそうあってほしいし、そうなるとまた一段、強くなると思うんです」 ――今回の箱根、法政大は、どんなレースを見せてくれるのでしょうか。 「箱根は、本当に一発勝負なので4位、5位になる可能性もありますし、シード圏外になる可能性もあります。ここ数年は、チーム力が上がり、大きく外さない走りができているので、今年もそれができればシードは獲れると思います。11位とか、20位とかにはなりたくないですからね。シード権ギリギリのところで食らいついていくのが大事ですし、仮にどこかの区間でくずれた時、どう走り切るかというのも大事になってきます。そういうのを含めて、箱根では勝負していきたいと思います」 (終わり) ■坪田 智夫 / Tomoo Tsubota 1977年6月16日生まれ。兵庫県出身。神戸甲北高(兵庫)を経て、法大では76回(2000年)箱根駅伝で2区区間賞など活躍。卒業後は実業団の強豪・コニカミノルタで2002年全日本実業団ハーフマラソン優勝、日本選手権1万m優勝。同年の釜山アジア大会1万m7位、2003年のパリ世界陸上1万m18位など国際舞台でも活躍した。ニューイヤー駅伝は計5度の区間賞。引退後の2012年4月から法大陸上部長距離コーチに就任。2013年4月から同駅伝監督に就任し、箱根駅伝は今回で10年連続出場となる。 佐藤 俊 1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)など大学駅伝をはじめとした陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。
佐藤 俊 / Shun Sato