インハイ出場を逃した日大藤沢が石川の地で悔しさ晴らす 桐蔭学園に3-0快勝で和倉ユースV
第12回和倉ユースサッカー大会 2024は大会5日目、最終日を迎えた10日、決勝戦が行われ、日大藤沢と桐蔭学園の神奈川県勢同士の対戦となった。 【フォトギャラリー】日大藤沢 vs 桐蔭学園 立ち上がりから攻勢に出た日大藤沢。一方、押されながらも早いプレスと身体を張った守備で反撃の糸口を見出し、じわりと押し出す桐蔭学園。ファイナルにふさわしい一進一退の攻防となった。こうした緊張感ある試合になると、イージーなミスが命取りとなる。 前半終了間際の35分、桐蔭学園GKが味方へパスミス。このボールを拾った日大藤沢FW30北野太聖。絶好のチャンスだったが、力が入りすぎたのかシュートは枠外に。外した北野は思わず、膝をついた。 一度、ふいにしたものの、チャンスは再びめぐってきた。 後半2分、右サイドから斜めのパスを受けたFW30北野が今度は冷静に決め、日大藤沢が待望の先制点。攻撃の手を緩めない日大藤沢は後半21分、シュートのこぼれ球に反応したFW9有川啓介が押し込んで追加点。 一気呵成に攻める日大藤沢。相手にボールを渡さず、ボールを回しシュートで完結する、一方的な展開に。締めくくりは後半35分、FW9有川のシュートの跳ね返りを途中出場のFW11近藤瑠一が押し込み3点目が入り、決着。試合は日大藤沢が3-0で桐蔭学園に完封勝利を収め大会を制した。 「総合力で勝てたと思います。良い先制点でいい流れを作れました」と優勝した日大藤沢・佐藤輝勝監督。 ここまでの戦いを振り返ると、予選リーグ3試合を2勝1分で突破。浦和東(埼玉)との決勝トーナメント1回戦はPK戦を制し、2回戦で1‐0でヴィッセル神戸U-18(兵庫)に勝つと、迎えた準決勝・西武台(埼玉)に3-0で勝ち上がった。決勝を含めた7試合で14得点・3失点と攻守ともに光ったといえる。 なぜ優勝できたのか。その理由を佐藤監督は「悔しさ」と語った。 「インターハイに出られなかった悔しさがあります。その悔しさを踏まえて、自分たちでフォーカスしながら、いままでやってきたことを見つめ直し、そして『この大会で』という気持ちで挑みました。準備してきたことは決して裏切らない。そのことは全員、感じていると思います」と捲土重来がかなった。 もうひとつ加えるなら、前述、監督の示したチームの総合力。 先制点を決めた北野は9日、準決勝・西武台戦で2ゴールをあげたMF26山岡稜同様、日大藤沢Bでの活躍が認められてのAチームへの昇格。しかも決勝での先発抜擢。1年生ながら、先制点ができたのも「先輩たちがいい声を出してくれました」と話すように、ともに戦う2,3年生のサポートがあったからこそ。 ピッチのなかは先輩・後輩関係なく、滅私奉公、フォアザチームで戦えるのはチームの風通しの良さとともに、誰が起用されてもプレーできる一貫した戦術の浸透にありそうだ。 「自分が返すのは結果だけ。選手権に向け、結果を出して先輩方に加わっていきたい」と気を吐く北野。 佐藤監督によれば、北野は学校の成績がよく、遠征バスの中で勉強に勤しんでいるとのこと。また北野は「家族の姿を見て」という理由から将来、医者を目指しているそうだ。 その奏でるサッカーもさることながら、層の厚さ、風通しの良さ、そして実力主義という公平・公正な起用基準など、チームの良さが全面に出た、和倉ユースサッカー大会2024。 2年ぶりに和倉ユースを制した日大藤沢が実りの秋にむけ、その歩を進める。 (文・写真=佐藤亮太)