ブラックストーン、AI時代先取り-新たな領域の不動産投資に挑む
しかし、電子商取引と在宅勤務の台頭は、PE会社からオフィスや店舗を買い取った人々に傷跡を残しており、次の資産売却を難しくするかもしれない。
買い手は新しいテクノロジーが大規模な不動産投資に与える影響をより警戒するようになるだろう。重大なイノベーションによってデータセンターが変化したり、自動運転車の普及によって物流拠点の理想的な場所が変わったりするかもしれない。
「テクノロジーに後押しされたトレンドが個々の資産クラスをこれまでにない形で押し流している」とメグジ氏は述べた。
金融情勢の悪化がブラックストーンや同業他社に問題をもたらす一方で、ブラックストーンは支出を控えているわけではなく、倉庫や賃貸住宅への投資を倍増している。
最も大胆な動きはデータセンターだ。人工知能(AI)ブームの中で注目される市場だが、そのために建設という異なるタイプのリスクを負っている。
ブラックストーンはこれまでにも、ビルを改修したり、限定的な工事で不動産に付加価値をつけたりすることはあったが、大規模な地上建設という危険な作業に踏み込むのは珍しい。ブラックストーンはその事業を行うため、データセンターのオーナーで開発業者でもあるQTSを買収した。
ブラックストーンは、イングランド北部のノーサンバーランドに2000万ポンド(約40億4000万円)で用地を購入し、データセンターを建設する。最終的には100億ポンドを投資する可能性がある。このように資本をリスクにさらすことはこれまではなかった。
マッカーシー氏は、こうしたリスクは管理可能だとし、「超優良で信用力の高いテナントとの長期的な契約だからだ」と説明した。
それでも、優良テナントの確保が常に保証されているわけではない。ブラックストーンはロンドンのカナリーワーフにあるきらびやかなオフィスビル「カーゴ」を売却しようとしてたが、この地域の将来に対するセンチメントがあまりに悪いため断念した。