ブラックストーン、AI時代先取り-新たな領域の不動産投資に挑む
例えば倉庫オーナーのロジコールは、122億5000万ユーロ(約2兆1000億円)で中国の政府系ファンドに売却した。22年には、アブダビとシンガポールの政府系ファンドからの新たな資金に加えBREITからの巨額の資金を投入し、別の倉庫グループ、マイルウェイの210億ユーロの資本増強を成功させた。
マイナス金利の世界で利回りを追い求めるファンドは積極的に高額なプレミアムを支払い、こうしたプラットフォームを購入。それは、大量の資金をきめ細かい資産クラスに投入する手段だった。マイルウェイではブラックストーンは220件の取引を通じて1700件の物件を集め、その全てをロンドンの小規模チームが担当した。
人口密集地域に近い倉庫への需要が賃貸料を高騰させるとの読みは当たった。「追い風の中で投資するのははるかにたやすい」とメグジ氏は述べた。
しかしファンドの驚異的な高リターンを可能にしたのは賃貸料の上昇だけではなかった。
不動産ブーム
1981年から40年間、政府の借り入れコストは容赦なく引き下げられ、不動産ブームをあおった。商業用不動産の価値は、そのビルがどれだけの賃料をもたらすか、そして投資家がその賃料収入の何倍を支払う意思があるかの両方から導き出される。
ソブリン債の利回りが低下したとき、投資家がより低いリターンを広く受け入れたため、不動産利回りも同様に低下した。
利回りが低下した結果、不動産価値は高騰した。家主が建物を改良したり家賃を上げたりしなくても、物件の評価額は上昇した。これは、資本市場のノウハウと懐の深さを持ち、借入金で購入しようとするバイヤーにとっては天からの恵みだった。
ブラックストーンも負けてはいなかった。ブルームバーグが確認した投資家向け書簡によると、同社のファンドが3億2500万ユーロを投資した欧州の都市物流ポートフォリオは16億ユーロで売却され、1億800万ユーロを投じた英国のポートフォリオは6億3100万ユーロで売れた。