ブラックストーン、AI時代先取り-新たな領域の不動産投資に挑む
マッカーシー氏は「われわれは非常に選択的だ。安物買いはわれわれの戦略ではない」と語った。
ブラックストーンは、資金が豊富にあるにもかわらずオフィスと店舗という2つの主力不動産を対象外としているため、物流や学生寮、ライフサイエンス用地など、あまり成熟していないニッチな分野に目を向けている。
こうした分野での建設減少が将来の供給を制限し、これまで購入してきた資産の価値を押し上げるとブラックストーンは見込んでいる。しかし、データセンターという新たな領域への最近の進出は、よりリスクの高い建築・開発業務を自ら行うことを意味する。
コメルツ・リアルのヘニング・コッホ最高経営責任者(CEO)は「不動産投資家はより選別的にならざるを得なくなるだろう。PE投資会社は常に巨額の資本を投下したがるため、やりにくくなるだろう」と語る。
金利上昇と技術面の大変革によって、不動産が歴史的な転換点を迎えている今、ブラックストーンが最大の投資家であると同時に、慎重に案件を選ぶことができるかどうかが、極限まで試されようとしていると指摘した。
ブラックストーンの不動産部門の前責任者で、共同最高投資責任者に昇格したケン・カプラン氏は同社のロンドンオフィスでインタビューに答え、「どこに投資するかが重要だ。基調的なファンダメンタルズやマクロトレンドがより強固なセクターや地域に投資する」ことが最重要だと論じた。
大きいことはいいこと
ブラックストーン不動産部門のルーツは、問題を抱えた資産を買い取って成功したニューヨークの金融家数人にさかのぼるが、現代の姿は数千人のアセットマネジャーと数十人のデータサイエンティストを擁する世界的な巨大企業だ。
近年は「ビッグ・イズ・ビューティフル(大きいことはいいこと)」戦略で目覚ましい成功を収めたが、こうした躍進を繰り返すのは容易ではない。
金融危機後の10年間、ブラックストーンは大規模な「プラットフォーム(ファンドが所有する不動産会社)」を迅速に構築することで知られるようになった。