ブラックストーン、AI時代先取り-新たな領域の不動産投資に挑む
ブラックストーン、REIT資産売却で新戦術-有利な取引への潤滑油
マッカーシー、メグジ両氏は、650億ドルというこの業界では破格の資金を取引に投入し始めているが、ブラックストーンの最大の強みである規模の大きさは、もはや成功を保証するものではない。
ブラックストーンは経営難に陥ったビルを買い取り改修して売却することで最初に不動産の富を築いた。その後、巨額の手元資金とウォール街との緊密な関係を利用し、膨大な不動産ポートフォリオに投資した。ゼロ金利がそれほど優良でない資産も含めあらゆる資産の価格を押し上げる環境の下では安全に投資できた。しかし、今はそれほど安全ではない。
前の時代の勝者が資本市場に精通し資金力のある企業であったとすれば、今日の勝ち組は昔ながらの不動産スキルを持つ企業、つまり、好立地を見抜き、そこから賃料を搾り出すことができる企業かもしれない。
転換点
カナダのオンタリオ州公務員年金基金(OMERS)の一部門であるオックスフォード・プロパティーズの開発部門グローバル責任者、ディーン・シャピロ氏はPE投資会社の全般的な戦術について「今はマクロプレーヤーであるべき時ではなく、不動産を本当に理解するべき時だ。現地のマーケットを理解する必要がある」と話した。
一方、ブラックストーンの両共同責任者は、金利が高止まりし政治的混乱が多発する中で慎重に行動する必要性を認めつつも、最近の案件の数々をこなし、楽観的な見方を示している。
メグジ氏は不動産危機について「ファンダメンタルズに焦点を絞り、短期的なノイズやセンチメントにとらわれないようにすべきだ」と述べ、マッカーシー氏は「悪いニュースはすでに織り込み済みだとみている。インフレのピークは過ぎ、資本市場は回復しつつある」と付け加えた。
最も暗雲が立ち込めているのは米国のオフィス市場だが、ブラックストーンは同市場へのエクスポージャーの少なさを常に強く語ってきた。ただ、最悪期に割安な物件を購入した後、オフィスの苦境を強調する論調は弱まった。