「里帰り出産」同行の幼い子ども、保育施設「退所」!? 長期欠席の扱い、自治体で差
産前産後の一定期間、実家などに帰省して子どもを産む「里帰り出産」。家族による家事や育児のサポートが期待できるほか、出産などに関する悩みを経験者から聞けるメリットもある。ただ、第2子以降を産む目的で保育施設に通う第1子を伴い帰省すると、長期欠席を理由に保育施設を退所しなくてはならないケースがあるという。判断は各自治体に委ねられているとされる中、静岡県内ではどのような対応となっているのか。
▶長期欠席2~3カ月 静岡県内15市町認める
静岡県によると、県全体を対象に里帰り出産の状況を確認した調査結果はない。浜松市の支援団体が2018年に行った調査では、1人目を里帰り出産した妊婦は全体の約6割。2人目以降も約3人に1人が里帰り出産するなど、一定数いることが分かる。 県内全35市町に聞くと、富士、御殿場、裾野、御前崎の4市が、里帰り出産に伴って在籍している子どもが保育施設を1カ月以上欠席した場合は「原則退所」または「退所になる可能性がある」と回答した。御前崎市は1カ月の欠席で判断する根拠として保育料の減免基準が月単位であることなどを挙げ、「現在も空きを待つ0~2歳児がいる」と明かした。裾野市は退所となる可能性があるとしつつも、「施設の待機状況次第でケース・バイ・ケース」と説明した。
▶島田市では独自の制度
一方、県内の15市町は2~3カ月間の欠席を認めている。中でも島田市は最大3カ月の欠席を認める「休園制度」を設けるほか、里帰り出産に加え長期入院などの場合も一律に扱う。欠席中の保育料が発生しないように事務処理を行い、復帰の意思があれば期間内に復帰できる。長期欠席の期間中、帰省先近くでの保育施設の利用が可能となる場合もあるという。市保育支援課は「保護者のニーズに合わせて柔軟に対応できる」とした。 残る16市町には規定そのものがなく、いずれも「個別の対応をとる」という。 こども家庭庁保育政策課は、保育を必要とする子どもの数の推移や保育体制は各自治体で異なるため、里帰り出産の対応にも差があるとの認識を示した。その上で、「適切な保育が子どもに行われるよう各自治体で運用してほしい」と話した。