大河ドラマ『光る君へ』で藤原道長を演じる柄本佑さんはどのように役と向き合っているの?
個性豊かなキャラクターにも目が離せない、大河ドラマ『光る君へ』。「偉大な父」「個性的な家族」という点には、どこか本作の道長役に運命さえ感じさせる、柄本佑さんはどのように役と向き合ってきたのでしょうか・・・? ―最高権力者を演じる難しさや、楽しさはありましたか? まさに今、そこを葛藤しているところなので、ハッキリと伝えるのが難しいのですが・・・、最高権力者だとは思っていなくて、結局一人の人間であるということかな。 当然、そういう差配をしなくてはいけない瞬間や、世の中のことを考えて天皇を案内していかなくてはいけない瞬間もあります。 でも、❝末っ子の、のんびり屋であった❞という根っこの部分を大事にしたいかなと思っています。その部分が無いと最高権力者をやっていっても、ふわふわとしたものになってしまう気がしています。 ―平安時代の作り込みや、そのために観た作品などはありましたか? 吉村公三郎さん監督の映画『源氏物語』だけは観ました。 意識して観なかったわけではないのですが、『光る君へ』は衣装やセットの説得力がすごくて、世界観の作り込みも熱いので、あまり他の作品を観すぎなくて良かったかなと思っています。(『光る君へ』の撮影時に)世界観に入り込むことができるものを事前に作って頂いていたからこそ、❝平安時代❞ということを意識しなくても、入りこむことができたのかもしれないです。 一方で、所作事は大変です。 特に歩くという事が非常に難しいので、暇さえあればずっとウロウロするくらい、撮影前にはずっと練習していました。 跨いだり、階段を昇り降りしたりするのは全て左足からと、所作の先生に習ってやっています。 弓や馬など練習することはいっぱいあるのですが、そういうミニマムなことっておもしろいですね。 「誰がそこを観るんだろう?」というところの積み重ねが、自分の重心を下げてくれたり、浮いたものにならないように導いてくれたりするのかなと思います。 ―❝藤原家の皆さん❞の中での立ち位置や向き合い方について教えて下さい。 (井浦)新さん、(玉置)玲央さん、(吉田)羊さんがいて、僕がいて、オヤジが段田(安則)さん・・・、画面に映った時にどことなく家族に見えるなと思って驚きました! とにかく段田さんですよね!第11回の段階で段田さん(演じる兼家)は、偉くなれるだけなっているんですね・・・、でもこれからの段田さんがもう一波あって、あれには僕もしびれました。 新さん(演じる道隆)の柔らかいんだけどどんどん攻撃的になっていく様と、玲央さん(演じる道兼)の狂気そして(詮子を演じる)羊さん。 道長は知らないことも多かったりするし、その中では一番薄くいようとしています。周りのキャラクターが強すぎるので!笑 「4人に打ち勝つぞ!」と思うのではなくて、いかに存在感を消せるかという感じでやっていました。 そして、これから、藤原道長という人間はギャップと戦い続けていく。 自分自身という人間と、本当の人間性みたいなところと、藤原を残していくためには自分がトップに立っていかなくてはいけない・・・というギャップが葛藤に繋がっていくかなと思っています、明確にそのシーンもあります。 平安時代の人物の役を演じていますが、より❝普通❞が求められているのかなと思います。 2024年の今を生きている自分というものが、ものすごく大事と想いながら藤原道長という役を演じています。
歴史人Kids編集部