「小学生のわが子には大好きな仕事と胸を張れる」日本初のインティマシー・コーディネーター浅田智穂 子役に対する特別な思いも
ただ、最近は監督とうまくいかない場面はかなり減ってきました。みんなでいい作品を作っていこうという雰囲気のなかでインティマシー・コーディネーターが入っているから、スタッフもうまく私を使ってやっていこうと協力してくれますね。私がこの仕事をしているのは、いい作品づくりをしたいから。ただ俳優を守りたいだけなら、タレントの事務所に所属すればいいので。私は今の仕事を通して、いい作品づくりにかかわりたいんですよね。
■「自分は本当にダメな人間」という思いも ── そういった浅田さんの人を思いやったり、人の立場に立ったりする目線が素敵だなと感じています。どうしたら養うことができるでしょう。 浅田さん:そんなふうに言っていただけるだけでありがたいです。私は失敗するし、こんなんじゃ全然ダメだと落ち込むこともあるので…。ただ、いろいろな人生経験はしてきたので、その影響はあるかもしれません。それこそ留学中も、どう周囲の人とうまくやっていくかとか、今思うと頑張っていたなと思うんですよね。あと、フリーランスで通訳の仕事をしてきて、妊娠・出産後に仕事が急に減ったり、いろんなしんどい経験もしてきたので、そのぶん人の痛みがわかるのかもしれないですね。
■性に対する考え方は常にアップデート ── 最近は、LGBTQ+インクルーシブディレクターと一緒にお仕事をするケースも多いと思います。特に日々考え方のアップデートを迫られている分野かと思いますが、ご自身ではどのように意識されていますか。 浅田さん:勉強はしているつもりですが、それで十分とも思っていないです。自分では差別をしていないつもりでも、今まで自分に蓄積されてきた考え方が不本意な形で出てしまうことはゼロではないので。私自身も、日本での異性愛規範が染みついてしまっているな、と感じるところは多々あります。でもだからといってLGBTQの方と関わりを持たないとか、それに関して発言しないのではなく、常に自分も考えをアップデートしつつ、間違えたら謝る。その繰り返しなんだろうなと思います。