【有馬記念】ダノンデサイルなど社台ファームが放つ4本の矢 吉田照哉代表14年ぶりVに手応え
今年は14年ぶりの日本ダービー制覇など、社台ファームにとって特別な年だったかもしれない。その一年の締めくくりのグランプリにダノンデサイル、スターズオンアース、ベラジオオペラ、プログノーシスがスタンバイ。4本の矢で14年ぶりの有馬記念Vを狙う吉田照哉代表(77)に手応えを聞いた。 ◇ 社台ファームの勢いが、年末の大一番を前に加速している。アドマイヤズームが15日の朝日杯FSを快勝し、生産馬は大阪杯、NHKマイルC、ヴィクトリアマイル、日本ダービーに続く今年のJRA・GⅠ5勝目。4頭で挑むグランプリを前に、吉田代表は穏やかな笑みを浮かべる。 「有馬記念はお祭り。世界で一番馬券が売れるレースなんだから。勝てたらうれしいけどね」 ダノンデサイルは日本ダービーを2馬身差で快勝。同ファームに14年ぶりの競馬の祭典Vをもたらした。「BCジュベナイルフィリーズで届かないような位置から2着まで飛び込んできた。体がしっかりしていてパワフル」と高く評価してきた母トップデサイルが、狙い通りに大物を送り出した。 勝負どころでスムーズさを欠いた菊花賞(6着)には「がっかりした」と本音を漏らすものの、「デサイルはもともとすごくいい馬。若いときに牧場で育てた人間が『僕にずっと乗らせてください』と直訴したくらいなんだから。ここにきて、さらにしっかりしてきた」と期待の大きさに変わりはない。「(調教師の安田)翔伍さんは自分で乗って納得してやるタイプ。しっかり形になってきたのだと思う。仕上げは大丈夫じゃないですか。あとは運。ダノンデサイルも距離は大丈夫だし、普通に走れば」と実力発揮を願う。 スターズオンアースは昨年の2着馬。秋初戦のジャパンCは7着に終わったが、「ドバイ(シーマクラシック8着)から間隔があいていたから、前回は1回使いたいというのがあった。この馬はここが本線」と反撃の構え。祖母スタセリタの牝系にも思い入れがあり、「今年フランスでスタセリタの血統(スパークリングプレンティ)がオークスを勝った。その馬がつい先日、セリ(アルカナ・ディセンバー・ミックスセール)に出て500万ユーロで取引された。約8億円。その血統が日本にいるのがすごいこと」と興奮気味に語った。 春の大阪杯を制したベラジオオペラ、海外GⅠで2着3回のプログノーシスはともに「距離が鍵」。初の2500メートルへの対応がポイントになるが、「大崩れしていないし、有馬記念でもそうあってくれたら」と上位争いを見込む。