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「野球やってる場合か」葛藤越え<がんばろうKOBE>でファンとひとつに…オリックス・バファローズ元球団職員・池見裕弘さん

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読売新聞オンライン

阪神大震災30年へ

 「下から『ドーン』と突き上げられるように体が浮いた。次第に(神戸市長田区の火災で)空が赤くなっていった。ただごとじゃないと思った」

 「具体的な被害がわかってくると、私だけじゃなく、みんなが『野球ができるのか。やってる場合か』と思った」

 「複雑だったが、『こんな時だからこそ、神戸で頑張っている姿を見せるんだ』という(オーナーの)明確な意志があったので、逆に頑張ろうと。だが、簡単に割り切れない。避難所から来る職員もいる。葛藤はあった」

 「これができて、いつまでも後ろ向きなことを考えていられない。前向きになっていかなければ、と思った」

 「着の身着のまま避難所から来たという感じの人を見て、本当によかったと葛藤が消えた。こういう状況でもオリックスを、野球を楽しみとしている人が確実にいる。この人たちのためにやらなければと感じた」

 「監督に呼ばれて、一緒に歩くことが多かった。『こういう時に観客が来てくれるのは、ありがたい』『不格好な試合はできへんな』と口にされていた」

 「『ひょっとしたら死んでたかもしれん。人間いつどうなるかわからん。頑張れる時に頑張らんと。いつまでも先があると思ったらいかん』と話していた。(給水の)バケツリレーで肘を痛めた投手もいたが、踏ん張っていた」

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