100回目の早明戦を前に両校監督に聞く(上) 現代ラグビーの中で「タテの明治、ヨコの早稲田」のDNAは?
第100回のラグビー早明戦が、12月1日に国立競技場で開催されます。1923年に始まって以来、戦争を挟み、時代も大きく変わる中、脈々と大学ラグビーの大一番として注目を集めてきました。今年も優勝の行方が決まる試合となっています。この節目の1戦を前に、早稲田大学・大田尾竜彦監督、明治大学・神鳥裕之監督に、これまでの早明戦の思い出、日本ラグビー界に果たしてきた役割などをうかがいました。2回に渡りお届けします。(なお、お二人に同じ質問をして対談形式でまとめていますが、インタビューは別の日に分けて行いました) 【写真】明大ラグビー部の応接室には67年間指揮した北島忠治監督の肖像。「前へ」の言葉に象徴される「縦の明治」を作り上げた
明治「最低でも五分に」 早稲田「先輩が重ねた重み」
―過去99回の対戦成績は、早稲田55勝、明治42勝、2引き分けです。99回積み重ねてきた重みと、この対戦成績をどう感じますか? 神鳥 明治も去年100周年を迎えて改めて歴史の重みっていうのを感じたんですけれども、やっぱり早稲田さんは我々が産声を上げたときにはもう既にラグビーのチームとしてスタートしていた。そういう歴史を考えると、我々が追いかける形はさほど驚きはないです。ただ、改めてこの両校の数字を見ると、先輩の方々の積みあげがあっての今かな、というように実感するところです。 ―北島忠治監督が存命だったとき、「私の目の黒いうちに勝ち越したい」っておっしゃっていました。 そうですね、やっぱり最低でも五分ぐらいに持っていきたいっていう思いがありますよね。今の学生たちは目の前の試合をしっかりと戦って、いつしか肩を並べるというところまでは持って行ってほしいと思います。 大田尾 僕もこの対戦成績を初めて見たときに、この早明戦という試合の持つ意味がここにあるのではないかと思って。ほぼ100回やってほぼ互角ですよね。どっちが勝つかわからないということを100回積み重ねてきたことが、まさにこの試合の注目度を高くしてきたのだと感じました。これは先輩たちが作ってきたものなので、重みとして非常に受け止めないといけないし、この100回の名に恥じない早稲田でないといけないと、今年本当に強く思いますね。 ―互角とおっしゃいますが若干勝ち越しているという、ここの部分についてはいかがでしょうか? どっちが勝つかわからない、明治の圧力に早稲田がどれだけ耐えられるか、という基本的な構図でこの伝統は積み重ねられてきたと思うので、早稲田が若干勝っているというのは確かにそうかもしれませんけども、やはりここ100年100回重ねた意味というのは、早稲田にしても明治さんにしても、やっぱり先輩たちが試合に懸けた思いがここにあるのかなと思います。