隆盛スマホゲーム その歴史と現実は?
高度なゲーム性とリッチ化
この頃から「ソーシャルゲーム」という呼称についた悪評を事業者が嫌ったこともあり、スマホゲームと呼ばれることが増えた。しかし、その基本骨格はアイテム課金で収益を上げる「カード型」の時代のままである。だが、『パズドラ』が「カード型」の戦闘にゲーム要素を取り入れたことは、現在の流れに大きな影響を及ぼした。 そもそも、「カード型」とはどういうゲームなのか。その基本パターンは、自分の手持ちのキャラクターたちのカードを育成しながら、一本道のダンジョンで登場してくる敵を次々に倒していくというものである。家庭用ゲームにあるような柔軟な移動や分岐は、ほとんどない。したがって、かつてのソーシャルゲームは「ポチポチゲー」と揶揄されていた。それは、敵が現れては戦うという場面のテキストをひたすらボタンをポチポチ押して流すだけの時間が大半を占めていたからである。だが、パズドラは、この「カード型」の路線を踏襲しつつも、攻撃部分をミニゲームにした。具体的には、同じ色の球を合わせて消すことで相手を攻撃するのだが、このパズル部分はゲーム会社ならではの、それ自体ゲームとして独立して楽しめるレベルの面白さと操作性に到達していた。他社もこの手法を真似するようになり、クイズに答えて攻撃するというコロプラの『魔法使いと黒猫のウィズ』などの大ヒット作も生まれていく。 また、アプリへの移行とほぼ同時期から、ゲームそのもののリッチ化が進行した。現在、その流れの最も先を行くのが、コロプラが今春に出した『白猫プロジェクト』である。従来のアクションRPGを思わせる画面と物語性が人気の秘密だ。そして、最近では、人気RPG「ファイナルファンタジー」シリーズの製作者であった坂口博信の新作『Terra Battle』が注目を集めている。こうしたゲームは、「カード型」の莫大な富をもたらすビジネスモデルに乗りながら、高いゲーム性を追求し、ゲームユーザーの満足度を上げる試みに挑戦した作品であると言える。