ひとり暮らし『東京はひと時の舞台、30代女性「仮暮らし」の部屋』 合わない婚活を止め「望む未来」をつかむまで
「もう、この会社一本だけに絞って、入れなかったらワーキングホリデーで海外に行こうと思っていたんです。その気迫がよかったのか、採用されて今は入社から5年目です。 私は無理に世間に合わせたりするよりも、好きなことをやっている方がいろんなことがうまくいくタイプなのかもしれませんね。今はやりがいのある仕事に打ち込めて、とても楽しいですから」 ■誰かの「残像」がない空間で、心機一転 佐藤さんは3社目の仕事が軌道に乗って程なく、吉祥寺から世田谷に転居した。
「吉祥寺も暮らしやすくて好きだったのですが、(前職時に)うまくいかなかった仕事や婚活、そして何よりも好きだった人の影がちらつくので、全てをリセットしたかったのだと思います。 その人に関しては、全体にまとう雰囲気や居心地のよさなど、私は全てが大好きだったんです。でも、彼は同じ気持ちではなかった。 そんなこともあって、新しい環境ではお互いに向き合って深い関係性を築いていく人以外、個人的なテリトリーには入れない。そう決意して今の場所に転居しました」
シンプルなインテリア、整頓された空間には佐藤さんが好きなものだけが置かれている。リラックスのためのアロマオイルや、観葉植物。今の自分を形作る思い出にちなんだ品。好きな「食」を楽しむための器や調理器具など。彼女のパーソナリティがそのまま表れた、調和の取れた空間だ。 「週末は新しいレシピに挑戦したり、友達を招いて手料理を振る舞うこともあります。また自転車で近所のパン屋さんや公園を巡るのが好きです。世田谷は美味しいパン屋さんや大きな公園がたくさんあるんですよ。自分のペースで部屋で過ごしたり、気ままに家の周辺を散策したりする時間が、最高に贅沢ですね」
■いつかは自然のある場所へ 東京での仕事やひとり暮らしを満喫する一方で、佐藤さんはずっとこの地で暮らしてゆくつもりはないという。 「やっぱり自然が恋しくなるんです。都会は刺激的ですが、どこかで演じているような気負いがありますね。『心の蛇口をぎゅっと締めている感じ』というか。 ある程度の年齢になったら、私はふわっと自分を解放して暮らしたいです。幼い頃から自然とつながっている感覚があって、それは鳥取のような自然豊かな土地で育ったからこそ得られた恩恵だと思っています」