沖縄の高校出身者が11人? 仕掛け人は“発掘”に奔走する指揮官…豪雪地帯の青森大学に選手が集まるワケ
「(同じ東北の強豪校である)富士大学や東北福祉大学と競合した場合、高校生はなかなかうちを選んではくれない。それなら、遠い場所にも出向いてほかの大学が狙っていないポテンシャルの高い選手を発掘しようと思ったんです。速く走れるとか、強く投げられるとか、フルスイングできるとか、体が大きいとか…何か一つでも光るものがある選手は気になりますし、見つけたときは気持ちが昂ぶります」 中でも「発掘しがい」を感じたのが沖縄。春季キャンプを宮古島で実施していたことや、同い年の知り合いに沖縄尚学・比嘉公也監督がいることなどがきっかけで、沖縄の高校生を目にする機会が増えた。そして、沖縄独特の「フィジカルの強さ」を持つ選手たちに惚れた。
目標はプロ入り…沖縄出身外野手は「厳しい環境」求め青森へ
その筆頭が、2026年ドラフトでのプロ入りを目指す右の強打者・川満真外野手(2年=糸満)だ。高校時代は「エースで4番」で、投手としては140キロ近い速球が魅力。だが三浦監督の目にそれ以上に光って見えたのは、毎打席で披露するフルスイングだった。 最高成績は県16強で個人としても全国的な知名度はなかった。川満いわく、九州の大学数校が進学先の候補に挙がる中、突如遠く離れた場所からアプローチをかけてきたのが三浦監督だったという。最終的に青森大を選んだ理由は「プロ野球選手を目指せる大学だと思ったから」。青森大OBで同じ右打ちの外野手である蝦名達夫外野手(現・横浜DeNAベイスターズ)、名原典彦外野手(現・広島東洋カープ)が大学で成長してプロ入りを果たしたことも決め手の一つになった。
大学に入るまでは東北を訪れたことも、雪を見たこともなかった。気候の変化については「最初はめちゃくちゃ不安でした」と振り返る。「でも…」と川満。「高校生の頃までは自分に甘くなってしまっていたので、厳しい環境にいる方が追い込めるかもしれないと思いました。厳しい環境で野球ができたら人間的にも成長できると信じて、覚悟して青森に来ました」と力強い口調で続けた。 「いまだに風邪はよく引きます」と苦笑いを浮かべるが、雪国の練習環境にはすぐに適応した。1年秋にレギュラーの座を勝ち取ると、そのシーズンは3割近い打率をマークしてベストナインに輝いた。ただ、2年目は打撃面で本領を発揮できず。勝負の3年目に向けては「親には『野球に集中するから今年はバイトをしません』と言いました。誰にも文句を言わせない成績を残せるよう、この冬はとことん自分を追い込みます」と誓う。川満のように、強い覚悟を胸に秘める選手は少なくない。