食べておいしい、使ってやさしい…元祖SDGs、エコ素材に再び光を! 職人たちは知恵を絞る ちくりんの里・さつま町
竹を生かした産業が古くから盛んな鹿児島県さつま町。近年は少子高齢化やプラスチック製品の普及もあり、以前ほどの盛り上がりはない。それでも地元特産を絶やすまいと、奮闘する人たちがいる。 【写真】〈関連〉手際よく丁寧に組み上げられるミニ門松=2023年12月16日、さつま町の宮之城伝統工芸センター
■竹製品 町内には約40年前まで竹製品の製造・販売を手掛ける業者が大小30社ほどあったが、現在は数社にとどまる。衰退の主な理由は、大量生産が強みのプラスチック製品の普及。竹は加工処理が難しく商品は割高になるため、需要が落ちた。 1945年創業の西田竹材工業所(同町湯田)はほぼ町内産を使い、箸やしゃもじなど約300種を造る老舗だ。以前に比べ生産量は減ったが、機械も導入しつつ、仕上げは手作業で温かみのある商品を生み出し続けている。 持続可能な開発目標(SDGs)への関心が高まる近年、竹などのエコ素材に注目が集まる。3代目の西田大造さん(40)は「需要が増えた実感はないが、品質にこだわりながら技術を残していきたい」と話した。 ■タケノコ 町内では10月中旬からの「超早掘り」を皮切りにタケノコの収穫期を迎え、ピーク期には直売所に採れたてが数多く並ぶ。 同町と薩摩川内市の159人が所属するJA北さつま・たけのこ部会の生産量は2023年度、青果用が24.8トンに上った。風味と歯ごたえがよく、無農薬で育つため同部会は「安心して食べられる」と勧める。
会員数は高齢化に伴い減少傾向だが、収量は大幅に落ち込んでいない。木下守部会長(69)は「さつま町の特産を育てているという自負がある。自然の恵みに感謝しながら、地域をもり立てたい」と語った。
南日本新聞 | 鹿児島