視力検査でぼんやりと見えている場合、適当に答えて大丈夫?眼科専門医・平松類が教える<正しい答え方>
◆「視力」と「見るための能力」は別のもの 視力検査ではマルの一部が切れているところが上下左右のどこであるかを判別しますね。 ランドルト環というのですが、あの環の切れ目を判別できる能力だけを医者は視力といっています。 医者がいう視力はそれだけのことをいっていて、見える能力全体のことをいっているのではありません。 ものを見るための能力は、それ以外にもあります。今述べた視野も見るための能力の1つです。 実用視力というものもあります。 視力検査の環の切れ目の判別は、一瞬見えればよいのですが、本を読んだりスマホを見ているときは一瞬ではありません。 長時間見続けるときの視力です。 この視力は本を読み続けたり、スマホを見続けることによって、だんだん低下します。 この視力を実用視力と言います。実用的に使う視力という意味です。
◆「視力はいいけどよく見えない」 コントラスト感度も視る力に関わっています。 コントラストは明暗の差のことです。視力表は白と黒のはっきりしたコントラストでできています。 これに対して、日常生活はそんなにコントラストははっきりしていません。日常生活で見るものは、淡い文字だったり、淡い色だったりしますね。それを見分ける能力がコントラスト感度です。 コントラスト感度が低下するのが白内障の症状の1つです。そのため白内障の患者さんには、コントラスト感度の検査をすることがあります。 それから色覚。色を判別する能力です。 色覚多様性(かつての色盲や色弱)といって、特定の色の判別が困難な人がいますが、色の判別もまた見るための能力の1つです。 日本人の場合、男性では20人に1人、女性は500人に1人の割合で、色覚多様性の人がいるとされています。 視野や実用視力、コントラスト感度、色覚……。こうした要素をすべて合わせて見るための能力ができています。 そのため「視力はいいけどよく見えない」という表現が成り立つわけです。
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