1999年以降、アメリカで熱中症による死者が2倍超に。日本でも急増
こんな異常に暑い夏、もう無理。 北半球のあらゆる場所が猛暑に見舞われた2024年夏。EUの気象機関コペルニクスによると、今夏(6月から8月)の世界平均気温は、エグすぎる暑さだった昨年を上回って、観測史上最高を更新してしまいました。気温上昇に伴って、アメリカでは熱中症による死者が1999年と比較して2倍以上になっています。 【全画像をみる】1999年以降、アメリカで熱中症による死者が2倍超に。日本でも急増
アメリカで熱中症による死者が急増中
アメリカの医学会誌Journal of the American Medical Association(Jama)に掲載された報告書で、研究チームが米国疾病予防管理センター(CDC)のデータを分析したところ、アメリカで熱中症による死亡数が1999年以降上昇しており、2016年以降は特に増加傾向が加速していると指摘しています。 熱中症による死亡数は、1999年が1,069人だったのに対し、2023年は2,325人と約2.2倍になっています。なお、1999年から2023年の熱中症による死者は2万1518人で、年平均861人とのことです。2023年には、年平均の2.7倍まで増加しています。 1999年からの5年と直近5年を比較すると、熱中症による死者は2.5倍になっています。最初の10年と直近10年だと1.8倍と、グラフを見ればわかるとおり、特に2020年以降の急増ぶりが影響しています。 研究チームは、死因を誤分類している可能性があるため、熱中症による死亡数を過小評価しているおそれや、暑さに脆弱(ぜいじゃく)な、弱い立場の人たちのデータが不足していることなど、今回の分析では制限があったことを報告書で述べています。
日本でも熱中症による死者が急増
日本の夏も同じく記録的な暑さになりました。気象庁は日本における今夏の平均気温が昨年と並んで過去最高を記録したと発表しています。 昨年と今年のデータはまだ公表されていませんが、1999年から2022年までのデータを見ると、日本でも熱中症による死亡数は増加しています。 年ごとにばらつきがあるので、まず最初の10年(1999年~2008年)と直近の10年(2013年~22年)を比較すると、熱中症による死亡数は2.6倍になっています。また、最初の5年(1999年~2003年)と直近の5年(2018年~22年)では4.9倍と、短期間とはいえ直近5年の急加速は心配です。1999年から2022年までの熱中症による死者は1万8000人を超えています。 グラフを見て、「2010年に何があった?」って思いませんか? 2010年のスパイクは、気象庁が発表している日本の夏の平均気温と照らし合わせると理由がわかります。 昨年と今年がとんでもない記録を出すまで、2010年の夏の平均気温は観測史上最高だったんです。しかも、当時の過去最高だった1994年の夏を0.29度も上回るかなりのぶっちぎりでした。2010年夏は、熱中症による死亡数が過去最高の1,731人と、初めての1,000人超えを記録しました。 最も暑い今年と去年の夏は、その2010年よりも0.68度も暑かったんです。その前の記録を0.29度差でぶっちぎった2010年を0.68度も上回るモンスター級の夏が2年続いています。 その2年間の熱中症による死亡数の確定値はまだ公表されていません。今年の夏も連日のように熱中症による死者や救急搬送のニュースが流れていました。発表されてもチェックするのをためらいそうです。