大麻合法化の試みは成功するのか? ウルグアイ
南米のウルグアイで10日、国民の関心を集めていた「大麻合法化法案」が議会上院を通過しました。この法案は今年7月にすでに下院を通過しており、ムヒカ大統領による署名が行われたのち、大麻の生産・販売・使用が法律によって完全に認められることになります。その狙いと課題は?
世界で初めてとなる大麻の全面解禁
オランダやスペインには賛否両論あるものの、大麻の仕様が事実上黙認されているエリアが少なくありませんし、アメリカでも17州で医療目的での大麻の使用が認められています。しかし、国が法律で成人の大麻栽培や使用を権利として保障するのは世界で初めてのケースです。 新たな法律では、マリファナの生産・販売・使用に関して細かなルールが定められています。18歳以上のウルグアイ国民であれば、1人につき6株までという制限が設けられているものの、消費目的での大麻の栽培が認められます。 また、国から認可を受けた薬局などで、1ヶ月に最大で40グラムまでのマリファナを購入することが可能です。栽培や購入を行う前に国への登録義務があり、登録者の生産量や消費量は全てデータベースで管理される見通しです。未成年への販売は原則禁止とされ、アルコール同様に運転中の大麻使用は認められていません。
税収アップよりも犯罪撲滅が真の狙い
AFP通信によると、ウルグアイ国内における大麻の消費量は過去10年で倍増しており、国内で使用される違法薬物の約70パーセントが大麻であったというデータも存在します。現在、ウルグアイ国内で最大20万人が大麻を使用していると考えられています。大麻の管理を事実上国営化してしまうことによって犯罪組織の資金源を断ち、犯罪を未然に防ぎたいという思惑も政府内には存在します。 国営化によって税収のアップも見込めるのではという声も存在しますが、ウルグアイ政府は販売する大麻の価格をかなり低く設定することによって、「市場の原理」で犯罪組織を駆逐する考えを示しており、税収よりも犯罪撲滅が重視されています。日本の医薬局にあたる国立医薬品会議のカルツァーダ長官は10月、地元紙エル・パイスの取材に対し、(法律が施行された場合)日本円で1グラム100円程度での販売を検討しているとコメントしています。仮に実現した場合、アメリカで医療用に販売されている大麻の10分の1ほどの価格になります。