作新学院・高森が意地の本塁打 競輪選手の父と太もも強化 センバツ
◇センバツ高校野球第10日(29日)準々決勝 ○山梨学院12―3作新学院(栃木)● 【山梨学院vs作新学院を写真で】 カウントは3ボール。見送る必要はないと、真ん中付近に来た直球をフルスイングで捉えた。六回の第3打席、左越えソロ。序盤から大量リードを許す苦しい展開の中で、作新学院・高森風我(ふうが)は「自分で流れを変えたかった」と意地を見せた。 昨秋の公式戦で打率5割超をマークした強打者。リードオフマンとして打線のキーマンにも挙げられていた。しかし、甲子園ではこれまで2試合で計9打数2安打と結果を残せていなかった。好調時のフォームを見直し、「軸足に力がたまらないまま打ちにいってしまっていた」と下半身主導を意識した。八回にはこの試合3安打目となる右前適時打を放った。 鍛え抜かれた下半身。それこそがパワーの源だ。父・圭介さんは現役の競輪選手。日ごろのトレーニングも競輪仕込みだ。父と一緒に自宅に設置したレース用の自転車をこぐ。1分間5セットを終えると、酸欠になりそうなほどだという。その成果がたくましい太ももに表れた。 大会前に父からは「自分のやってきたことを全て出し切ってこい」と送り出された。「粘り強く下半身で打ちにいくのが自分の持ち味。もう屈辱的な思いをしないよう(力を)磨いていきたい」と思いを強めた大舞台だった。【生野貴紀】